どこでも見かけるスズメ。
ありふれた鳥のひとつですが改めて見ると非常に愛らしい見た目をしていることに気が付くはずです。私自身、スズメの雛を保護してからその可愛さを再認識しました。スズメを始めとしたシジュウカラ、ヤマガラ、ジョウビタキなど日本の野生種は原則として飼育や売買が出来ません。
しかし、同じスズメの仲間にも飼育可能でペットショップで購入できる種類があります。スズメの仲間は「フィンチ」と呼ばれます。(厳密には違うのですが)
「フィンチ」に分類される小鳥たちはおしなべて小柄で鳴き声も静かです。雌雄で差がありますが鳴くこと自体少なく、鳴き声が気になる方にオススメできます。飼育も幼鳥期を過ぎれば簡単な部類で初心者にもオススメできます。
ここでは代表的な「フィンチ」3種と購入時の注意点を紹介します。
文鳥(ブンチョウ)
ペットとして有名な文鳥(ブンチョウ)はスズメの仲間です。
スズメに比べるとくちばしが大振りで、スズメに惹かれた方からするとちょっとぶさいくに見えるかもしれません。「手乗り文鳥」と言われるように子供のころから育てることで非常に人懐っこく成長します。写真にある桜文鳥は、通常の文鳥に白いまだらが加わった種類です。
このほかにも真っ白なシロや、白に赤や茶が混じるクリーム、淡いグレーが上品なシルバーなど多彩です。全体的に地味な色が多いですが、これはスズメの仲間の特徴と言えるかもしれません。ペットとしての人気が高いため、インターネットや書籍などの情報量が多く、文鳥用の餌のバリエーションも充実しています。
ペットショップでの取り扱いも多く、価格も3000円~7000円程度で購入することができます。
錦華鳥(キンカチョウ)
錦華鳥(キンカチョウ)は、文鳥よりマイナーですが比較的ペットショップで見かけることも多いスズメの仲間です。フィンチのなかでは文鳥に次いで人気があるのがこの錦華鳥です。
錦華鳥は、写真からもわかる通り文鳥に比べてやや野生のスズメに近い姿をしています。色味は種類によって茶が強いものもあります。茶系の錦華鳥は比較的色が淡いことが多く、そうした個体は色の淡いスズメと言っても誰もが信じるであろう外見をしています。飼育方法や難易度も基本的に文鳥と変わりません。
餌は文鳥専用とフィンチ用が存在しますが、需要の多い文鳥に専用品が登場しているだけで単なる商業的な分類に過ぎないため文鳥用の餌などがそのまま使用できます。
価格は種類によって上下するものの、5000円~10000円程度です。
十姉妹(ジュウシマツ)
十姉妹(ジュウシマツ)の名を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。こちらもスズメの仲間で、ペットショップでの扱いはあるものの文鳥や錦華鳥よりも数は少ないです。
もし購入したい場合には大型のペットショップよりも、街にある小さな小鳥店を訪問すると良いでしょう。小鳥店ではジュウシマツを取り揃えていることが多いです。野性には存在しない種で、キンパラというスズメの仲間から人工的に作り出された鳥です。
黒・白・茶などをベースとして様々な色味が存在します。スズメに近い色合いや、まるで三毛猫と見紛うような白ベースに茶や黒のぶちがある個体も存在します。文鳥や錦華鳥と同じように飼育は容易で鳴き声も静かです。加えてより大人しく温厚な性格をしており、今回紹介する三種のなかで最も育てやすいかもしれません。
価格は種類によって上下するものの、5000円~10000円程度です。
スズメの仲間(フィンチ)購入時の注意点
スズメの仲間(フィンチ)は飼育が容易で、価格も手ごろです。しかし、いくつかの注意点を知らずに購入してしまうと痛い目をみる可能性があります。
懐かせたいなら子供を選ぶ
スズメの仲間(フィンチ)は人によく懐きます。
手を差し出せば手に乗り、一緒に遊ぶことも可能です。しかし、このように人に懐かせるためには幼少期から育ててやる必要があります。幼少期と言っても、雛から育てるのは難易度が高いです。生まれて4~5週間ほど経過して、1人で餌が食べられるようになった個体を選ぶと良いでしょう。
多くのペットショップや小鳥店では、雛を購入する際に「1人餌が食べられるようになってから引き取る」という選択ができるはずです。1人で餌が食べられないうちは、人間で言うと赤ちゃんの頃と同じです。世話をしてくれる人を記憶していないのです。
1人餌が食べられるようになってから、毎日遊んでやることで段々と懐いていきます。逆に一定の時期を越えてしまうと、毎日遊んでも人に懐いてくれなくなります。
大体5週目から12週目くらいの期間にしっかりと世話をして遊んでやると、よく懐いてくれるでしょう。
非常に残念なことにチェーン店の大型ペットショップなどでは管理が悪く人に強い警戒心を持つ小鳥も少なくありません。できれば小鳥に愛を注いでいることがわかる地元の小鳥店やペットショップを見つけられると人に懐く良い個体に出会えるかもしれません。
生まれた時期が不明な個体は選ばない
小鳥に力を入れていない大型のペットショップでは、生まれた時期が不明の個体が多いです。例えば「3月下旬に生まれました」などと記載がある場合は「不明」と言って差し支えないです。しっかりと「3月3日~6日ころに孵化した子の1匹です」と言ってくれるお店から購入してください。
雛の成長速度はすさまじく早く、詳しい人なら見た目でおおよその時期を特定できます。成長速度が早いということは、週ごとに育て方を変えなければならないということです。これは雛の飼育が難しい要因のひとつです。
生まれた時期が不明確なお店の個体は状態が悪いことや、餌を減らして成長を遅らせているケースが多いです。雛の購入に際して週齢(生まれて何週目か)は非常に重要な情報です。その情報が不明確と言うことは店員の知識も不十分で世話も疎かである可能性が高いです。
残念ながら小鳥の市場規模は小さく、大型のペットショップでは力を入れていないことが多いです。可能であれば小さな小鳥店を何軒か周り、良いお店を見つけ出すと良いでしょう。
いずれにせよスズメの仲間は取り扱いが少ないですから、何軒か周ることになると思います。
手を近づけると逃げる個体は避ける
挿し餌が必要な初期の雛を除き、ある程度成長した幼鳥(5週目以降)を購入する場合の注意点です。
バードケージに手で触れ、逃げていく鳥は人に慣れていない可能性が高いです。ペットショップでは、同じケージに複数匹いる場合や隣接したペットケージに別の鳥がいることが多いです。このような環境で育った鳥は人に不慣れで人を避けるようになることがあります。特にケージ内で落ち着くなく飛び回っている場合には注意が必要です。
手に乗ってくれるような人に慣れた個体は、ペットケージに手を置いても何も反応しないか近寄ってきます。この方法で100%見分けることが出来るわけではありませんが、目安としてお使いください。
また、慣れさせたい場合には1つ目の注意点で説明したように、1人で餌を食べられるようになったタイミングで引き取って、自身で人に懐かせていく方が良いでしょう。
さいごに
地味で人気が高いとは言えない「スズメの仲間」を紹介しました。
最近ではペットショップでの扱いも減り続けている気がする小鳥ですが、一定数の需要はあるのでしょう。街の小さな小鳥店は今でもなくなることなく元気に営業しています。
犬猫でも問題視されるペットショップの管理の悪さは、鳥にも顕れています。
可能であれば良い小鳥店と出会い、幸せなペットライフにつなげていただきたいものです。