今回は、100万円を切り始めたX1(E84/2009年~2015年)に注目してみたいと思います。
安く買って安く維持することに着目して各部をチェックしていこうと思います。
X1(E84)の概要
X1(E84)は、2009年に登場し、2012年のマイナーチェンジを経て2015年まで販売されていたコンパクトSUVです。
モデルコードは、E84のみで派生モデルは存在しません。
エンジンは、2Lの4気筒エンジンを搭載するsDrive18i、2Lの4気筒ターボエンジンを搭載するsDrive20iおよびxDrive20i、3Lの6気筒エンジンを搭載するxDrive25i、2Lの4気筒ターボエンジンを搭載するxDrive28iがラインナップされました。sDriveはFR、xDriveは4WDを表しています。
トランスミッションは、マイナーチェンジ前は6速AT、マイナーチェンジ後は8速ATを搭載しています。
非常に戦略的な価格と、ポップなデザインで登場し、話題となったX1です。3シリーズをベースとしており、後輪駆動のsDriveを選択することができます。マイナーチェンジを経てエンジンがターボ化されています。 モデル初期のものでは100万円以下の車両もちらほらと出てきています。それ以外でも100万円台の車両が多いです。
維持費で考える狙い目のグレード
オススメのグレードはsDrive18iもしくはxDrive25iです。
この2つのグレードを挙げるのには理由があります。
それはエンジンの違いで、維持の面で考えると一長一短なのです。詳細は「エンジン」の項目で解説します。
なお、ここでは100万円を切り始めたというタイトル通り、マイナーチェンジ前のモデルをターゲットに考えていきたいと思います。
維持の観点から各部をチェック
エンジン
本来であれば、部品点数が少なく故障時の部品代や工賃が抑えられるsDrive18iをオススメするべきです。
なぜ6気筒のxDrive25iを含めたかというと、エンジンの信頼性です。
sDrive18iに搭載されたN46エンジンは6気筒エンジン以上にスムースで静か、ふけ上がりも良くパワフルで軽量、高い環境性能を誇ります。
しかし、このエンジンはいくつか不具合が起こりやすいポイントがあります。
ここでは詳細を割愛しますが、タイミングチェーンガイドの破損、オイル消費、ヘッドカバーやオイルフィルターハウジング、オイルレベルゲージ、可変バルブタイミング機構からのオイル漏れなどが散見されます。
このエンジンは多くのBMWの車に搭載されたエンジンです。そのために不具合の報告が多いという点は否めません。また、10万km程度では不具合が出ないことが多いです。整備状況が悪ければ10万km以下で不具合が生じることもありますが、オイル漏れを除けば15万kmや20万km近く走行した車両に発生しやすいということです。
それでは6気筒エンジンを搭載した325iの方が維持費が安いか?と言われればそうとも言えません。
6気筒エンジンは、すごくざっくりと言えば部品点数が単純に1.5倍です。つまり、故障自体は6気筒エンジンの方が起こりにくいが、故障した時は6気筒エンジンの方がお金がかかるのです。
維持費の観点でエンジンをまとめます。
4気筒のsDrive18iは、走行距離が伸びるとオイル漏れやオイル消費が増えがちです。
6気筒のxDrive25iなどは、オイル漏れやオイル消費には悩まされないものの、その他のふいの故障時に必要とする部品点数が多く、工賃もやや高額になるでしょう。
一長一短であり、最終的にいずれのエンジンであっても維持費はあまり差がでないのではないでしょうか。
トランスミッション
エンジンと来たら、続く大物はトランスミッションです。
6シリーズ(E63/E64)の630iに搭載されるトランスミッションは、定番のZF製の「ZF 6HP19Z」です。
輸入車のトランスミッションについて調べたことがある人であれば、この型式にピンと来るはずです。そう、超定番のZF社製トランスミッションシリーズです。このトランスミッションは何者かと言えば、以下のような車にも搭載されています。
- BMW X3
- BMW 5シリーズ(E60)
- BMW 3シリーズ(E90)
- BMW 1シリーズ(E87)
型番が僅かに異なりますが、4WD版の同トランスミッションはアウディやVWの4WD車に搭載されており、A6やQ7、トゥアレグなどに搭載されています。
このように、多くの車種に搭載されているトランスミッションです。つまり6気筒エンジン同様、実績と信頼のあるトランスミッションと言えます。
タイヤ
タイヤはsDrive18i、xDrive25i共に標準採用は17インチです。
非常に経済的で、ブリジストンのレグノのようなハイスペックなタイヤでも2万円ちょい。スタンダードなタイヤであれば1本1万円程度で購入することができます。
ブレーキ
ブレーキはシンプルな片押しの1ポッドキャリパーです。
社外品の定番のDIXCEL社製で見てみると、ブレーキディスクが3~4万円ほど、ブレーキパッドが1~2万円ほどで揃います。滅多に交換するものではありませんが、これだけ安価に流通しているのは嬉しいポイントです。
乗り方によりますが、4~5万km程度でパッドを、8~9万km程度でディスクを交換することになるでしょう。ただし、高速道路や流れの良い道を主体にしている場合には更に1.5倍程度もつケースも珍しくありません。
サスペンション
X1は部品の流通量が若干少なく、1シリーズ、3シリーズ、5シリーズなどと部品を共通化していないサスペンション部品は少しだけ高額になる傾向があります。
例えばビルシュタイン製のショックアブソーバーであれば1台分で10万円ほどします。
ショックアブソーバーは気にならなければ交換する必要がない部品ですし、信頼できるメーカー製で10万円というのは十分にお買い得な価格といえます。
その他
X1はSUVということで中古相場の下落が緩やかです。
また、1シリーズ、3シリーズ、5シリーズなどのように販売台数が多く部品の選択肢も豊富ではありません。
特にDIYでの維持を考えている場合には、eBayなどで海外から部品を輸入したり、社外品を積極的に採用することで維持費を抑えることができるでしょう。
購入後の維持費と注意点
100万円を切り始めたマイナーチェンジ前のモデルであっても、まだ10年と経たない新しいモデルです。
それまでの使われ方や維持の仕方によっては状態の悪い個体もあるでしょう。
車選びの際には是非以下の記事も参考にして、「アタリ」の個体を探してみましょう。
ポイントは走行距離に捉われないことです。
近所の買い物に使われていた車より、高速道路ばかり乗っていた車の方が車の状態は間違いなく良いです。
少なくとも「ハズレ」の個体を選ばない限りは、まだまだ故障知らずで維持にお金もかけずに乗ることができるでしょう。
不安があれば、当サイトでも相談をお受けしています。このままページを下にスクロールしていただくと連絡方法が記載されているので、困った時には是非ご活用ください。
BMWにおいて故障と言った場合には主に以下の4パターンです。
- オイル漏れ
- 水漏れ
- センサー類の故障
- 点火装置の故障
これら以外の故障は、耐久性や頻度をとっても国産車とそう変わらず、あえて心配することはありません。もちろんいずれ故障するでしょう。例えば国産車でも20年経った車でエアコンが故障しているのは珍しくありませんね。
上記4パターンを簡単に説明していきます。
先述の通りX1を購入するのであれば、これらの故障を心配するのはまだ早いでしょう。参考までにご覧ください。
オイル漏れについて
オイル漏れについては、以下の記事で細かく解説しています。
BMWのオイル漏れが発覚!修理が必要?緊急度や添加剤、安価な修理方法をご紹介
結論から言ってしまうと、オイル漏れと言っても基本的に緊急度が低いケースが多いです。修理を年単位で先送りにすることもできますし、そのまま乗り続けることもできます。
予算と相談しながら、修理するのであれば車検やその他の修理とセットにすることで工賃を節約すると良いでしょう。
水漏れについて
2000年台後半以降のBMWは、信頼性が向上しているように感じます。
例えば今から10年前の車両を見ても、ほとんど故障知らずで今なお走っている車が多数見られます。昔からBMWのゴムや樹脂パーツが弱いとは言われていますが、段々と改善が重ねられ、品質も向上しているようです。
水漏れに関してはオイル漏れと違って先送りするのは賢明ではありません。
しかし、一般的なホース類やタンクの交換であれば、せいぜい3~4万円程度です。DIYであれば1万円もあれば十分に部品が手に入るでしょう。
決して怯えるようなものではありません。
10年経っても壊れないことも珍しくない部品が、せいぜい3~4万円で直るわけです。
センサー類の故障について
センサー類の故障は症状が多種多様で偏には語れません。
20年近く壊れないものもあれば、5年で壊れるものもあり、運の要素が強いです。
主要なセンサーの部品代は数千円~1万円程度のことが多いです。詳細は以下の記事で解説しています。
点火装置の故障について
エンジンの燃焼のキッカケとなる点火装置については、不思議と昔からイグニッションコイルの故障が多いです。細菌の車両でも、整備記録を眺めると新車から数年のうちにイグニッションコイルを新車保証で交換しているケースがしばしば見られます。
残念ながらイグニッションコイルの故障は運の世界です。20年近く壊れないものもありますし、3年で壊れることもあります。故障しても不調は出るものの走行不能にはなりません。詳細は以下の記事で予防法と合わせて紹介しています。
まとめ
人気のSUVということで価格はあまり落ちていませんが、特にFRのsDrive18iは100万円以下の車両も多数存在します。
SUVということで独自の部品も多く、3シリーズや5シリーズほど維持費は安くない場合もあります。しかし、積極的にOEM部品や社外部品を活用することができれば維持費は国産車とそう変わらないレベルになるでしょう。