柑橘類の育て方 雄花・雌花の判別と人工授粉について

ガーデニング

4月も後半に入り段々と暖かくなってきました。我が家のレモンにも花や蕾がこれでもかと言うほどついています。今回は、柑橘類の果樹の雄花と雌花の見分け方と受粉の方法を解説していきます。

柑橘類の雄花と雌花?

植物が実を実らせるには、めしべに花粉をつける「受粉」が必要です。受粉の方法や雌雄の分かれ方は植物によって以下の3通りに分類されます。

  • 両性花 : ひとつの花におしべとめしべが存在する
  • 雌雄異花 : おしべのみ持つ雄花とめしべのみ持つ雌花が存在する
  • 雌雄異株 : 雄花のみつける株と雌花のみつける株が存在する

両性花は、誰もが第一にイメージするであろう植物の形態です。花にはおしべとめしべの両方が存在し、おしべの花粉をめしべにつけることで受粉します。

雌雄異花は、スイカなどのウリ科の植物に多く、おしべだけの花とめしべだけの花が存在します。当然、実が成るのはめしべだけの「雌花」です。

雌雄異株は、イチョウが最も有名でしょう。実をつける雌花には銀杏が実りますが、雄花には銀杏は実りません。銀杏の悪臭対策のために街路樹などには雄の株が使われることが多いです。

さて、柑橘類はというと両性花です。

冒頭の写真にコメントを加えましたが、真ん中の太い1本がめしべ、周りの細いものがおしべです。

たまにめしべがないものや極端に小さいものが存在します。これらは栄養不足等に起因する奇形花です。

奇形対策と肥料の与え方

奇形の原因は病気や栄養不足などが考えられますが、まず疑うのは栄養不足です。柑橘類は肥料がたっぷりと必要な植物です。肥料を与える時期は特段の決まりはありませんが春先にたっぷりと肥料を与え、そこから秋の終わりにかけて肥料を切らさないようにすることが基本です。

基本的に冬以外は常に肥料が効いている状態を維持することを意識してください。難しい場合には柑橘類専用の肥料が販売されています。扱いやすく肥料の与え方や時期もパッケージに記載に従うだけなので非常に簡単です。

柑橘類の自然受粉

柑橘類は両性花で、ハチやチョウなどの昆虫が好んで寄ってきます。特に意識せずとも自然と受粉が行われることが多いです。しかし、昆虫が近づけない以下のような環境では自然受粉が困難な場合があります。

  • マンション等の高層階
  • 室内
  • 防虫ネットなどの覆いをしている
  • その他防虫作用のある製品を使用している

自然受粉が困難な場合には、人工授粉を行う必要があります。

風で受粉する?

柑橘類は両性花ですから、めしべとおしべの距離が近いです。一般的に、両性花であれば風で受粉することもありえます。ただし運頼りになるためたくさん収穫を楽しみたい場合には人工授粉をしてあげた方が良いでしょう。

レモンの人工授粉

柑橘類の人工授粉はとても簡単です。

柑橘類のおしべとめしべは隣接していますから「花粉を取ってめしべにつける」と言うようなことは意識する必要はありません。筆などの柔らかいもので、めしべとおしべがあるあたりをくるくると撫でてやれば十分です。

その際に花が落ちてしまうことがありますが、これは仕方がないと諦めてください。原因と対策を解説しますが、元気な花は多少いじったり引っ張ったりしても落ちません。

花がポロポロ落ちる原因と対策

柑橘類の育て方について調べていると「花が触るとすぐに落ちてしまう!」という悩みが散見されます。柑橘類は過剰に花をつける傾向があります。本来適切な数を超えて大量の花を咲かせるため、栄養が行き渡らず弱い花からポロポロと落ちてしまうわけです。

栄養不足や水分不足、適切な花の数など気にすべき点はないわけではありませんが花がぽろぽろ落ちること自体は柑橘類においてはよくある正常なことです。

花が落ちる「落花」や実が落ちる「落果」の原因と対策は詳しくはこちらの記事で解説しています。

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