【GPU冷却強化】グラフィックボードの温度を下げるための4つの対策

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春が終わり、夏が近づき気温が高くなってきました。

この時期になると気になるのがPCの冷却問題です。特にゲームや動画編集などグラフィックボードに負荷のかかる作業をするとグラフィックボードの温度はあっという間に上昇してしまいます。CPUは高性能なCPUクーラーに手軽に交換できるため冷却強化は比較的容易ですがグラフィックボードはそうは行きません。

ファンの設定を見直すことで温度の上昇を抑えることができますが、上昇スピードを抑えるだけでピーク温度を下げる効果はありません。元々冷却性能に余力がある場合にはファンの設定だけで温度を下げることができますが、余力がない場合にはピーク温度に達するまでの時間を少し先延ばしする効果しか得られません。

今回はGPU温度を下げるための4つの対策を紹介します。

なお、水冷化や冷却装置(ヒートシンク+ファン)を既製品に交換するような大掛かりな対策は除くハードルの低い対策を紹介します。

1.ファンの設定を見直す

まず始めにグラフィックボードの冷却性能に余力があるかどうか?を確認する必要があります。冷却性能に余力があればファンの設定を見直すだけでもGPU温度を低く保つことができます。

GPUファンの設定を見直す場合によく使用されるツールがMSI社のAFTERBURNERです。こちらからダウンロード可能でMSI社以外のGPUにも利用可能です。

AFTERBURNERを開くと以下のような画面が表示されます。

現在のGPU温度やクロック数、オーバークロックやダウンクロックの設定が可能です。

左側のメニューからGPU温度や使用状況をモニタリングする画面を開いたり、ファンのスピードを設定する画面を開いたりすることができます。

こちらはモニタリング画面の様子です。

文字が小さくて読みづらいのですがGPU温度は55度近辺を行き来しており、ファンの回転速度はほぼ100%に張り付いています。室温は25度程度ですからファンをフル回転させているのに冷却が追い付いていないことが見て取れます。

とはいえ、高負荷時で55度であれば決してGPU温度が高すぎることはありません。高負荷時に70度以内ならあまり気にしなくても良いレベルです。

自分がよくプレイするゲームや動画の編集や書き出し処理をしている最中のGPU温度やファンの回転速度の状況をモニタリングしてみましょう。もちろんベンチマークなどで強制的に負荷をかけても良いのですが、実際に自分が使用する環境下で調整する方が静穏性と冷却性能のバランスを取りやすいです。

ファンの回転速度が100%近いのに温度が高い状態が続く場合は冷却性能に余力がない証拠です。

室温が25度で冷却性能に余力があってもGPU温度が25度まで下がることはありません。GPU自体が常に発熱していることもありますが空冷の冷却効率は温度が室温に近づくにつれて悪化するためです。GPUに負荷のかかっていない状態では室温+10度くらいが目安です。ただしGPU温度が低い場合に極端にファンの回転速度を抑えている場合やファンを止めている場合には+20度くらいになることもあります。

GPUに高い負荷がかかっている時のGPU温度の目安は以下の通りです。

  • GPU温度:50度以下→めちゃくちゃよく冷えてる
  • GPU温度:60度以下→十分冷えてる
  • GPU温度:70度以下→ぼちぼち
  • GPU温度:80度以下→ちょっと苦しい

80度以下だと「ちょっと苦しい」と表記しましたが、高負荷時に一時的に80度以上に温度が上昇するのは問題ありません。しかし、長時間のゲームプレイ中のGPU温度が常に80度近くまで上がっている状態はあまり良いとは言えません。GPU温度の上限が近くGPUの寿命を縮める可能性があります。なによりファンのうるささが耳に付くはずです。

もし想定する高負荷環境ではファンの回転速度が100%に達しない場合にはAFTERBURNERの設定画面でファンの回転速度を調整できます。とりあえず常に100%で回転するように設定してGPU温度が十分に下がるかどうか確認してみましょう。

ファンの回転速度を100%に設定してGPUが十分に冷えているようであれば冷却性能に余裕があった証拠です。とはいえファンを100%で回転させると騒音が凄まじいです。騒音とGPU温度の兼ね合いを見て回転速度を調整してみましょう。

ファンを100%で回しても十分に冷却されない場合や我慢できるラインの騒音までファンの回転速度を落とすと冷却が不十分な場合には次の対策へ進みましょう。

ちなみに我が家のPCにはシングルファン仕様のRTX2060が搭載されており冷却性能に余裕がありませんでした。シングルファン使用のグラフィックボードはコンパクトで安価ですが冷却性能に余裕がありません。スペースの余裕がある場合にはシングルファンよりツインファン、ツインファンよりトリプルファンの方が冷却性能が高くなります。冷却性能が高いということは性能の限界を常に発揮し続けられるということですから実質的な性能も高いということができます。

2.ケースファンの設定を見直す

GPUはヒートシンクとファンの力で冷却をしていますが効果的に冷却するためには周辺の気温が低く保たれている必要があります。

室温も大きく影響しますがそれ以上に重要なのがPCのケース内の温度です。ケース内温度は場所によって大きく差がでます。これはケース内の風の流れ(エアフロー)の影響で風の流れがある場所は冷え、逆に風の滞留している場所では温度が上がるためです。PCケース内に温度センサーが備わっていることはほぼありませんがマザーボードの温度を知ることでケース内温度をざっくりと知ることができます。

マザーボードの温度を確認するにはHWMonitorというフリーソフトを使用する方法が一般的です。

HWMONITOR | Softwares | CPUID

実際にHWMonitorの画面がこちらです。

マザーボードはASRock Z390M Pro4で温度は35度であることがわかります。

マザーボード温度およびPCケース内温度は概ね室温の+10度程度であれば正常と言えます。+20度を超えると十分にPCケース内の換気(吸気と排気)が行えていない可能性があります。マザーボード温度が室温の+20度を超えている場合はGPU周辺は更に高い温度になっていることが推測できます。

手っ取り早い方法としてはPCケースのフタを開けてみてください。これでマザーボード温度やGPU温度が大きく下がるようであればケース内の換気の見直しが必要です。冷たい空気を取り入れるための「吸気」、熱い空気を吐き出すための「排気」。このいずれかが不足しているとケース内温度が上昇しGPU温度の上昇につながります。

もしPCケースのフタを開けて温度が大きく下がる場合はケースファンを増設してみましょう。(おすすめしませんがPCケースのフタを開けっ放しにするという手もあります。更に扇風機の風を直接当てると効果絶大です。)

我が家で使用しているPCケースは格安PCケースの定番ともいえるThermaltake Versa H17です。このケースには4つのケースファンを取り付けることが出来ます。

信頼できるメーカーのファンのなかでもお買い得なのはこちら。ケースファンは取り付け可能なサイズがありますからPCケースのスペックが実際の寸法を測って選択してみましょう。

Corsair ML140 Pro(WhiteLed) PCケースファン FN1047 CO-9050046-WW

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ケースファンの電源が足りない場合には簡易的な分岐ケーブルを使用しましょう。こちらの商品はSATA電源で動作し、簡易的な速度調整も可能です。

こちらがCorsair ML140を4つ取り付けた我が家のPCの内部です。

見えづらいですが右側にファンが2つ、左側に更にファンが2つあります。

前面にある2つのファンから冷たい空気を吸気して天面と背面のファンで熱い空気を排気しています。緑の矢印は空気の流れのイメージです。吸気ファンのうち下側のファンはほとんど電源ユニットに隠れているため、おそらくGPU周りは空気の流れが少ない状態になっています。一方でCPUは空気の流れ的に非常に理想的な位置にあります。

ここでは前面から吸気して、背面・天面から排気しています。

特に決まりがあるわけではありませんが、一般的に前面から背面へ空気の流れを作ることが多いです。これはPCの前面側には人がいることが多いことや、背面の方がより効率良く空気を排出できる荒いメッシュ状になっているケースが多いことに起因します。同様に底面から天面へ空気の流れを作ることが多いです。これは熱い空気は上へ上へと昇っていく特性があるためです。

ファンの吸気と排気は取り付ける向きを変えることで容易に切替できるため、自身のPCケースにあった吸排気ができるように試行錯誤してみても良いでしょう。

ファンを増設したらまずはすべてのファンを騒音が気にならない程度に動作させてみてください。もし今までPCケース内の換気ができていなかった場合、ケースファンを追加して静かに回すだけでもGPU温度が5度以上下がることがあります。もし変化が得られないのであれば排気側のファンを少し高めの回転速度で回してみましょう。我が家の場合、ケースファンは20%程度の速度でゆるゆると回していたのですが排気側のファンの速度を上げたところGPU温度が5度ほど低下しました。

ケースファンは時折「ブーンブーン」や「ウーウー」といった共振音を発生することがあります。多くの場合はファンの振動がケースの柔らかい部分に伝わって起こる共振音です。ケースファンの交換や調整をする場合には共振音対策をすることで静音性がグッと向上する可能性があります。

デスクトップPCの共振対策 「ブーン音」や「ウーウー音」はケースとファンの共振かも

3.グラフィックボードクーラーを増設する

世の中にはGPUを冷却するための専用の製品が存在します。GPUの隣のスロットに設置できるファンです。

価格も安いのでとりあえず試してみても良いかもしれません。実際に使用している様子がこちらです。

GPUの隣に2連ファンがついていますね。

シンプルでアナログな手法なのですがこの2連ファンが強制的に熱気を吹き飛ばすお陰でGPU温度が5度程度下がりました。この2連ファンが広い範囲から空気を集めることで冷たい空気を取り込みやすくなっている説もありますが、たぶん熱を撒き散らす効果の方が高いと思います。

このグラフィックカードファンのお陰でGPU付近の熱気がPCケース内に撒き散らされることになりますから、あわせてケースファンを少しスピードアップさせてやることで我が家の環境ではGPU温度が劇的に低下しました。ただし、通常の内排気GPUはファンで風を吸い込んで熱気をケース内に撒き散らかす仕様です。すぐ隣にこのようなファンを設置すると逆効果になることもあるので注意が必要です。

4.側面ケースファンを増設する

さて、ここまでの対策で冷たい空気をGPUへ運び、GPUの排熱をPCケース外に排出することが重要だということがわかりました。

それならGPUの真横にファンを付けたら良くない?と誰しもが思うことでしょう。通常の内排気GPUの場合、GPUのファンの目の前に吸気ファンがあれば最高ですね。あるいはGPUの目の前に排気ファンがあっても良いでしょう。

私が使用しているThermaltake Versa H17を始めとして安価なケースや小さめのケースはGPUを冷却するためのケースファンが取り付けられないことが多いです。高価なケースや大きめのケースはGPUの横(拡張スロット横)にファンを取り付けられることもあります。

そこでケースに穴を開けてGPU真横にファンを取り付けてみました。決しておすすめの方法ではなく、PCケースのカバーを外しているのと大差ない方法ですが、工作好きの方は試してみても良いかもしれません。

こちらの記事で詳しく解説していますが、意外と安く簡単に実践できます。

【ケース加工】ケースファンを追加してグラフィックボードに冷風直撃! – ドリリウム

ドリルなどの工具さえあれば2000円くらい。ホールソーやニブラーを買い足しても3000円くらいで増設できます。ただし、記事内でも解説している通り劇的な効果は見込めません。手っ取り早くカバーを外した方が良いでしょう。

まとめ

GPUの冷却強化について対策をまとめてみました。GPUクーラー自体に手を加えるような対策は、大掛かりなうえ破損の危険もあります。また、GPUクーラー周りに手を出そうとすると保証対象外になってしまいます。(我が家のRTX2060はとっくに分解済みで保証対象外だけど)

そこで、GPUクーラーに手を出さずに出来る冷却対策をまとめてみました。

最後のGPU真横にクーラーを増設するという手段はやや難易度が高いかもしれませんが、効果が非常に高く3000円程度の予算で実行可能です。

また、それ以外の3つの手段で大抵の場合は十分な冷却性能が得られるはずです。我が家では、1~3番の対策を施しただけでゲームプレイ中のGPU温度が70度→55度まで低下しました。

追記:ダウンクロックと電力制限で発熱が劇的に抑えられました

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