今回は、100万円台も増えてきたX5(E70/2007年~2013年)に注目してみたいと思います。
安く買って安く維持することに着目して各部をチェックしていこうと思います。
X5(E70)の概要
X5(E70)は、2007年に登場し、2010年のマイナーチェンジを経て2013年まで販売されていたミドルアッパークラスSUVです。
モデルコードは、E70のみで派生モデルは存在しません。
エンジンは、3Lの6気筒エンジンを搭載する3.0si(後にxDrive30iに呼称を変更)4.8LのV型8気筒エンジンを搭載する4.8i(後にxDrive48iに呼称を変更)などがラインナップされました。
トランスミッションは、マイナーチェンジ前は6速AT、マイナーチェンジ後は8速ATを搭載しています。
大型SUVのX5は、特にマイナーチェンジ前の車両を中心に100万円台の車両が増えてきています。
維持費で考える狙い目のグレード
オススメのグレードは3.0si(xDrive30i)です。
3.0siとxDrive30iは同じグレードです。2008年を境に呼称が変更になりました。
このX5は2010年を境にエンジンがターボ化しました。ターボ化によりエンジンが複雑化し、部品点数も増えて維持費は高額になります。
V型8気筒エンジンを搭載した上級モデルも同様です。部品点数が増加し、複雑なエンジンのため整備性が悪く作業工賃が多くかかります。
維持の観点から各部をチェック
エンジン
エンジンはN52エンジンが搭載されています。
この時期のBMWの各社に搭載された直列6気筒エンジンで、これを最後に自然吸気からターボ化してしまったため、貴重な自然吸気エンジンと言えます。
1シリーズや3シリーズ、Z4やX3、X5、6シリーズ、7シリーズととにかくほとんどすべてのBMWの車両に搭載されたエンジンです。
実績は高く、目立った不具合も報告されていません。
また、これだけ多くの車種に搭載されたということは部品の流通も豊富で安価に手に入れることができます。
トランスミッション
搭載されるトランスミッションは、定番のZF製の「ZF 6HP」です。
輸入車のトランスミッションについて調べたことがある人であれば、この型式にピンと来るはずです。そう、超定番のZF社製トランスミッションシリーズです。このトランスミッションは何者かと言えば、以下のような車にも搭載されています。
- BMW X3
- BMW 5シリーズ(E60)
- BMW 3シリーズ(E90)
- BMW 1シリーズ(E87)
型番が僅かに異なりますが、4WD版の同トランスミッションはアウディやVWの4WD車に搭載されており、A6やQ7、トゥアレグなどに搭載されています。
このように、多くの車種に搭載されているトランスミッションです。つまり6気筒エンジン同様、実績と信頼のあるトランスミッションと言えます。
タイヤ
タイヤは少々大きいものの国産車でも当たり前になってきた18インチを装着しています。
ディーラー等で交換をお願いすると高額になる傾向がありますが、ネットショップを活用するとグッと維持費を抑えることができます。
例えばSUV専用のミシュラン製ハイパフォーマンスタイヤであるLATITUDE SPORTでも2万円少々です。
ブレーキ
ブレーキはシンプルな片押しの1ポッドキャリパーを採用し、X6と共用しています。
価格は社外品の定番であるDIXCEL社製を見てみると、ブレーキディスクが6万円ほど、ブレーキパッドが2~3万円ほどです。
滅多に交換するものではありませんが、これだけ安価に流通しているのは嬉しいポイントです。
乗り方によりますが、4~5万km程度でパッドを、8~9万km程度でディスクを交換することになるでしょう。
サスペンション
サスペンションには、リアにエアサスペンションを採用しています。
社外品としてはビルシュタイン製のショックアブソーバーが15万円ほどで購入することができます。
ショックアブソーバーは気にならなければ交換する必要がない部品ですが、信頼できるメーカーの商品がそれなりに安価に手に入るのは嬉しいです。
その他
X5はSUVということで中古相場の下落が緩やかです。
また、1シリーズ、3シリーズ、5シリーズなどのように販売台数が多く部品の選択肢も豊富ではありません。
特にDIYでの維持を考えている場合には、eBayなどで海外から部品を輸入したり、社外品を積極的に採用することで維持費を抑えることができるでしょう。
購入後の維持費と注意点
100万円台で狙える車両は、マイナーチェンジ前後の2010年あたりの車両になります。2010年前後の車両であれば、まだ10年と経たない新しいモデルです。
それまでの使われ方や維持の仕方によっては状態の悪い個体もあるでしょう。
車選びの際には是非以下の記事も参考にして、「アタリ」の個体を探してみましょう。
ポイントは走行距離に捉われないことです。
近所の買い物に使われていた車より、高速道路ばかり乗っていた車の方が車の状態は間違いなく良いです。
少なくとも「ハズレ」の個体を選ばない限りは、まだまだ故障知らずで維持にお金もかけずに乗ることができるでしょう。
不安があれば、当サイトでも相談をお受けしています。このままページを下にスクロールしていただくと連絡方法が記載されているので、困った時には是非ご活用ください。
BMWにおいて故障と言った場合には主に以下の4パターンです。
- オイル漏れ
- 水漏れ
- センサー類の故障
- 点火装置の故障
これら以外の故障は、耐久性や頻度をとっても国産車とそう変わらず、あえて心配することはありません。もちろんいずれ故障するでしょう。例えば国産車でも20年経った車でエアコンが故障しているのは珍しくありませんね。
上記4パターンを簡単に説明していきます。
オイル漏れについて
オイル漏れについては、以下の記事で細かく解説しています。
BMWのオイル漏れが発覚!修理が必要?緊急度や添加剤、安価な修理方法をご紹介
結論から言ってしまうと、オイル漏れと言っても基本的に緊急度が低いケースが多いです。修理を年単位で先送りにすることもできますし、そのまま乗り続けることもできます。
予算と相談しながら、修理するのであれば車検やその他の修理とセットにすることで工賃を節約すると良いでしょう。
水漏れについて
2000年台後半以降のBMWは、信頼性が向上しているように感じます。
例えば今から10年前の車両を見ても、ほとんど故障知らずで今なお走っている車が多数見られます。昔からBMWのゴムや樹脂パーツが弱いとは言われていますが、段々と改善が重ねられ、品質も向上しているようです。
水漏れに関してはオイル漏れと違って先送りするのは賢明ではありません。
しかし、一般的なホース類やタンクの交換であれば、せいぜい3~4万円程度です。DIYであれば1万円もあれば十分に部品が手に入るでしょう。
決して怯えるようなものではありません。
10年経っても壊れないことも珍しくない部品が、せいぜい3~4万円で直るわけです。
センサー類の故障について
センサー類の故障は症状が多種多様で偏には語れません。
20年近く壊れないものもあれば、5年で壊れるものもあり、運の要素が強いです。
主要なセンサーの部品代は数千円~1万円程度のことが多いです。詳細は以下の記事で解説しています。
点火装置の故障について
エンジンの燃焼のキッカケとなる点火装置については、不思議と昔からイグニッションコイルの故障が多いです。細菌の車両でも、整備記録を眺めると新車から数年のうちにイグニッションコイルを新車保証で交換しているケースがしばしば見られます。
残念ながらイグニッションコイルの故障は運の世界です。20年近く壊れないものもありますし、3年で壊れることもあります。故障しても不調は出るものの走行不能にはなりません。詳細は以下の記事で予防法と合わせて紹介しています。
まとめ
人気のSUVということで価格はあまり落ちていませんが、100万円台の車両も多数存在します。
SUVということで独自の部品も多く、3シリーズや5シリーズほど維持費は安くない場合もあります。しかし、積極的にOEM部品や社外部品を活用することができれば維持費は国産車とそう変わらないレベルになるでしょう。