夏が近づいて参りました。
地域によっては、既に30度を超える日も珍しくありません。暑い日が続くとアクアリウムをする者にとって気がかりなのが高水温です。
高水温対策のうち、最も優れた対策はエアコンで室温を涼しく保つことです。
しかし、それが難しい人にとっては以下の2つが主な選択肢となります。
- 冷却ファンで水温を冷やす
- 水槽用クーラーを使用する
そのうち、今回は冷却ファンで水温を冷やす方法について、実践してみた結果を報告します。果たして冷却ファンの効果のほどは?
都市部では室温が40度を超えることも珍しくない中で、冷却ファンは気温未満まで水温を落とせるのでしょうか?
使用する製品
今回、選択したのはテトラ ダブルクールファンです。
なぜこれを選択したかというと、最もポピュラーで昔からある定番商品だと感じているからです。また、ファン2つセットになっており、サーモスタットまで付属して3380円(2018年6月現在、Amazonにて)という安さも魅力です。
冷却ファンで水温を冷やそうとする人は、基本的に安さを目的としているはずですから、安いというのは魅力的です。
しかし、この製品は約12cmのファンが2つもあって対応水槽サイズは30cm~60cmとなっています。
テトラ以外で最もこの手の商品に力を入れていると感じるのがGEXです。
GEXで~60cm水槽に対応している製品となるとジェックス アクアクールファンのレギュラーサイズです。価格は1963円ですが、サーモスタットが付属しません。セットでの利用が推奨されているGEX ファン専用サーモスタットは2150円します。合わせると4000円を超えますから、テトラ ダブルクールファンの安さが際立ちます。
しかし、テトラ ダブルクールファンは約12cmのファンが2つあるのに対して、ジェックス アクアクールファンは約10cm×約5cmのファンが1つだけです。取り付けもコンパクトで、ごちゃごちゃした水槽周りを更にごちゃごちゃさせる心配がありません。
実験!テトラ ダブルクールファンは60cm水槽を冷やせるのか?
早速実験します。
我が家の60cm水槽には自作キャノピーがついています。冷却を考えて4辺のうち2辺は壁を取り外すことができます。そのうち左側の1辺を取り外し、このようにテトラ ダブルクールファンを取り付けました。
ご覧の通り、ファン2つを並べるだけで60cm水槽の短辺(30cm)をほぼ占拠します。
外部フィルターの吸排水パイプが本当は奥にあったのですが、収まりきらずに仕方なく吸水パイプ側を水槽の後ろ側に押しやりました。ファンはやや角度を付けており、風が水面を叩きつつも風が横に流れるように配慮しています。
ファンから水面の距離は約2.5cmです。
また、黒い物体は蛍光灯です。キャノピーの上(水面から約12cm)に置いています。実験中は点灯させていません。なお、テトラ ダブルクールファンは水面上に7cm程度のスペースがあれば取り付けることができます。
キャノピーの制作記事はこちら:水槽上部の囲い?キャノピー?を作りました – ドリリウム
また、今回はそもそも風だけで水温が下げられるのか?を試すためにもこんなケースも計測しました。
テトラ ダブルクールファンに加えて、右上にサーキュレーターを水面直撃で強風モード。大きめの扇風機を更に外側からあてています。水槽用冷却ファンは基本的に小型ですから、どんなに回転数が高く、設計が優れていても大きなサーキュレーターや扇風機には敵わないのです。
なお、水温計はテトラ製のデジタル表示の水温計を使用しており、計測ポイントは底から5cmほど上の壁面です。外気温計は同じくデジタル表示のものを水槽横に置いています。水温・外気温共に位置によって細かく異なるため、参考程度の情報となります。
実験結果
実験結果は意外なものになりました。
テトラ ダブルクールファンのみ使用
テトラ ダブルクールファン+サーキュレーター+扇風機使用
まとめ
この結果からわかることは、以下の3点です。
- ファンを使用していない時と同様に、水温は気温に連動して上下する
- 水温が気温未満になることはない(※)
- 急激な気温の上昇時に、水温の急激な上昇を抑えられる
※実験時間外にもチェックを続けました。涼しい日や夜間であっても外気温を下回ることはありませんでした。
つまり、室温が35℃の時に、水温を35℃以下に下げる能力はないということです。サーキュレーターと扇風機まで回して試してこの結果ですから、予想以上にファンの効果は薄いのかもしれません。しかし、水温は気温の変化に遅れて温度が変化します。その変化を緩やかにしてくれる効果があることがわかりました。
なお、エアコンで室温を26度に保ちつつ10時間以上ファンを回し続けましたが、それでも水温が室温以下になることはありませんでした。水しぶきが出るほどの強烈な送風や、外部フィルターの排水部を噴水のようにするなどすると、もしかすると冷却効率は上がるかもしれません。気化熱による冷却に必要なのは、とにかく水を蒸発させることです。
照明の発熱にはファンは有効
なお、我が家の水槽は蛍光灯を3本使用しています。
蛍光灯からの発熱はすさまじく、特に暑い時期には蛍光灯の点灯状況で水温が数度変わります。こうした時、蛍光灯に風を当てるようにすると水温の上昇が抑えられることは確かです。しかし、それでも蛍光灯を点灯すると水温が室温を上回ります。
この時期は蛍光灯を夜間のみ点灯しています。ファンを止めた場合、朝起きて確認すると室温が25度以下であるのに対して水温が27度を上回っています。一方でファンを動かしていると25度~26度程度で落ち着いてくれます。
まとめ
- 冷却ファンを過信しない
- ファンを使っても室温が30度を超える場合は水温が30度を超えることを覚悟する
- 照明は絶対に点けない
- 照明を点ける場合には最も気温が低い時間のみとする
- ファンは照明の排熱対策に使った方が良いかもしれない
なお、昨年夏は写真にも写っているサーキュレーターを稼働させていました。
しかし、19時ころに家に帰ると水温は30度を越えていました。そんな日が続きましたが、それでも魚が死ぬことはありませんでした。
最終的には、常にエアコンを付けっぱなしにする作戦に移行しました。その時の電気料金も記録しているので、また今度記事にしたいと思います。