BMWのよくある故障のひとつがイグニッションコイルの故障です。
イグニッションコイルが故障すると、警告灯が点灯したり、振動が増えたりするほか、故障費用は高額になりがちです。
ここではその症状、修理と合わせて予防策と一緒に直すと工賃が安く済む部品も紹介します。
※ダイレクトイグニッションの場合です。
イグニッションコイル故障の症状
イグニッションコイルが故障しても、速やかに走行ができなくなることがありません。
しかし、イグニッションコイルに問題があるということは、その気筒の燃焼が正常に行われないということであり、以下のような症状を始めとして著しくエンジンのフィーリングを損ないます。
- エンジンの振動が出る
- アイドリングで回転数が安定しなくなる
- ふけ上がりが悪くなる
- エンジンがかかりにくくなる
- エンジン警告灯が点灯する
また、エンジン警告灯が点灯することで、特に輸入車に不慣れであったり、車の知識が乏しい場合にはエンジンの振動とセットで不安を煽ります。
エンジン警告灯やエンジンの振動が必ずしもイグニッションコイルの故障が原因で起こるとは限りません。エンジンの振動やエンジン警告灯が走行不能の前兆である可能性はゼロではありません。エンジン警告灯やエンジンの振動が発生し始めた場合には、速やかにディーラーやショップに相談するか、診断、整備を実施しましょう。
イグニッションコイル故障の修理
イグニッションコイルの故障は、基本的に診断機を使って判断されることが多いです。
ディーラーやショップでは専用の診断機や診断ソフトをインストールしたPCを使用しますが、自身で修理する場合には当サイトでも何度か紹介しているC110がおすすめです。
非常に安価ながら、実績は多く、DIYでBMWを整備している多くの方に愛用されています。かくいう私も2度購入しています。
診断機を使うと、どのイグニッションコイルに問題があるかを知ることができます。
イグニッションコイルは1気筒あたり1つ備わっており、4気筒エンジンであれば4つ、6気筒エンジンであれば6つ、8気筒エンジンであれば8つ備わっています。そのため、問題が出たイグニッションコイルが判別できると問題の1本だけを交換することで修理を終えることができます。
また、問題の気筒が判別できない場合でも、イグニッションコイルはすべて同じ品番ですから、1本ずつ差し替えて問題のあるコイルを判別することができます。
しかし、イグニッションコイルは基本的に寿命の長い部品です。
この寿命の長い部品が、BMWでは4万km程度から故障することがあります。新車保証の効いている間に故障して、保証で交換する、なんていうケースも珍しくありません。主な原因は熱と振動です。熱と振動はすべてのイグニッションコイルにほぼ均等に影響を与えていますから、1本故障した場合にはほかのイグニッションコイルも遠からず故障する。というのが定説です。
修理を自身で行う場合には別ですが、ディーラーやショップに依頼する場合には交換工賃がかかります。故障のたびに交換するよりも、1度にまとめて交換した方が結果としては工賃が安くなるため、全数交換を勧められることが多いのです。
もちろん例外があり、あまりにも早く故障した場合には、全数交換ではなく問題の1本だけを交換するケースもあります。例えば3年3万km以内で故障した場合には、ディーラーであっても全数交換ではなく問題のある1本だけを交換することが多いようです。
現実的には、10年10万km以上使えるケースも多い部品ですから、10年10万kmを超えていなければ無理に全数交換をする必要はないと思います。
なぜならイグニッションコイルは高価なのです。
ネットで安いものを探しても、1本5000円程度します。
▼例えばこちらはBOSCH製のイグニッションコイルです。
4本交換すれば20000円、6本なら30000円です。
ディーラーやショップでは部品代だけで1本1万円以上するうえ、工賃までかかってしまいます。
イグニッションコイル故障の予防策
イグニッションコイルの故障は防ぎようのないものと思われがちですが、効果が大きいとまでは言い切れないものの2つほど予防策をあげることができます。
予防策1 エンジンに過酷な使用環境を避ける
第一の予防策は、エンジンを過酷な環境で使用しないことです。
過酷な環境とは何かというと、渋滞です。
一方で高速道路を走ったり、郊外をあまり止まることなく走るというのはエンジンにとって最高の環境と言えます。
日本国内、特に首都圏においては渋滞が避けては通れないものとなっています。そんなありふれた渋滞が、車にとっては非常に過酷な環境なのです。エンジンは非効率的な回転域での不完全な燃焼を余儀なくされ、熱は高まります。
渋滞を避けるということは、あらゆる故障を予防する効果があるわけです。
予防策2 スパークプラグを早めに交換する
大抵、異常が出るまでは交換されないスパークプラグですが、スパークプラグは使い始めてすぐに劣化を始めます。スパークプラグにある電極は使用とともに消耗し、スパークプラグの要求電圧が高まり、これがイグニッションコイルに負荷を与えます。
▼デンソーの公式ページでも同様の説明がされています。
プラグの寿命 | スパークプラグ/アフターマーケット製品|デンソー
BMWのスパークプラグは、最近では純正でイリジウムプラグが装着されています。イリジウムプラグは寿命が長いものの高額になりがちですが、それでもイグニッションコイル1本分で4本~6本のスパークプラグが購入できます。
なお、スパークプラグは基本的に純正相当品を選択するのが望ましいです。
通常のスパークプラグとイリジウムプラグでは火花の形状が異なり、特にシビアなセッティングが施された高性能エンジンにおいてはこの火花の形状の違いにより綺麗な燃焼が阻害される場合があります。
イグニッションコイルと一緒に直すと工賃が安く済む部品
イグニッションコイルを外す場合、BMWでは車種によりますが主に以下のような部品を取り外す/取り外しやすくなることになります。
- オイルフィラーキャップ(あまり交換するものではない)
- エアコンフィルター
- スパークプラグ
これらを同時に交換した場合には工賃が安く済む場合が多くなります。