【終の車探し#3】レヴォーグ(STI Sport R EX) 引き締まった走りで及第点の快適性、その割に安くはない

スバル・レヴォーグの最上級グレード「STI Sport R EX」に試乗しました。

スバル・レヴォーグはステーションワゴンと言われることもありますが見た目はハッチバックにしか見えないスバルの主力モデルです。下調べをした限りではかなり評価が高く、特に電子制御サスペンションを装着するSTI Sport系のグレードはスポーティなのに快適性も高くコストパフォーマンスも高いなど評価はすこぶる良いです。

私はGTカーが好きで、そのなかでもBMW・5シリーズが特にお気に入りなのです。しかしもう良い年齢であることや、車好きな仲間たちと遠く離れた地に移住したことを機に車趣味をやめてお金のかからない車へ乗り換えるため試乗先を探しています。「車にお金を掛けずに残りの人生を」が趣旨の試乗記の第3弾です。

基本的には絶対評価としつつ、これまで試乗してきた車とも比較していきます。

× 内外装は子供っぽい

前回のレガシィアウトバックの試乗でも感じたように、やはりスバルのデザインは子供っぽくおもちゃのように感じてしまいます。私が18歳であれば気分も高揚したかもしれませんが、今となっては少し恥ずかしさを感じます。これは前々回に試乗したクラウンスポーツでも感じました。

また内装はレガシィアウトバック以上に質感が低く、極めてダサいUIの大型タッチスクリーンとむさくるしいセンスの欠片もないインテリアで購買意欲はかなり削がれました。

〇 運転は楽しい

そんな若さや汗臭さに気後れしてしまうレヴォーグですが、その若々しいイメージそのままに引き締まった良い走りをします。前後重量バランスに優れるわけでもなく、スバル車の例に漏れずホイールベースが短いにも関わらず運転が楽しい車です。

シートポジションは国産車らしく高くて落ち着きませんが、視界は良好でシートのホールド性も良くステアリングフィールやアクセルフィールも良好です。長らくFR車に乗ってきたこともありステアリングフィールは違和感が強いものの、最近あれこれと試乗するなかでこれでも十分良い部類であることを理解しました。車体もコンパクトですから車と一体になって走ることができるようです。10年以上前のBMW・3シリーズのスタンダードモデルを少しだけ思い出しました。

× 快適性はそこまで良くない、乗り心地も静粛性も高くない

非常に評価が高く気になっていた乗り心地や静粛性は、確かに悪くないのですが別段良くもありません。

走りの良さは一旦置いておいて、乗り心地に関してはコンフォートに設定すれば動きに落ち着きはありますが、一般的な乗り心地の良さとは違う気がします。ガコガコと車体がちぐはぐな動きをする昔の安い日本車っぽい動きではないものの、しなやかかと言われればそれほどでもありません。個人的には至ってフツー。あるいはややスポーティ寄りです。運転する楽しさから昔のスタンダードモデルの3シリーズを思い出しましたが、まさに快適性に関しても同じです。インチアップ・ローダウンされたMスポーツではない昔の3シリーズくらいの感触です。

静粛性は私の基準からすれば低いです。10年前の水準でも決して良い部類ではないと思います。昨今は車両価格が上がり続けているため純粋な比較はできませんが、お買い得でスポーティなハッチバックと考えればなかなか良いと言ったところだと思います。タイヤをコンフォートタイヤに変更すればもう少し良くなりそうです。

〇 荷物がまずまず乗る、FRベースとは大違い

コンパクトなステーションワゴンとして考えると比較対象にCクラスや3シリーズのステーションワゴンが思い浮かびますが、そうしたFRベースのコンパクトワゴンと比べると荷室が広いことがわかります。特に荷室長の長さは好印象です。

× コストパフォーマンスは悪い、安くない

コストパフォーマンスが良いという前評判を聞いていたのですが実際にはオプションや諸費用を追加していくと総額は600万円を超えます。あれ?アウトバックより高いぞ?

この車の良さを考えたときに走りの良さや最低限の快適性が挙げられますが、現代の水準では特段優れたものではありません。それに加えて内外装のチープさや質感の低さを考えると決してコストパフォーマンスに優れるとは言えないでしょう。比較対象が1世代以上前の国産ファミリーカーであれば優れた車と呼べるかもしれませんが、多くの車に乗った経験のあるプロのジャーナリストたちが何をそこまで高く評価しているのか最後まで判然としませんでした。

総評 50点 走りは楽しめるがそれ以外すべてが犠牲になっている車

GTカー好きの観点から見たときに走りが良く楽しめる車ですが、それ以外の内外装の質感や機能性、乗り心地や静粛性など多くの点が平凡もしくはそれ未満の仕上がりです。レガシィアウトバックから続けてこのレヴォーグに乗ってより一層強く感じますが、スバルは快適だとか上質だとか、高級みたいなものが苦手なようです。

2.4Lモデルは確かにパワフルですがCVTはレスポンスが悪く、ごく低回転のトルクも相変わらず薄いですから運転を楽しんだり普通に乗るだけであれば1.8Lモデルで十分でしょう。価格も2.4Lモデルではあれこれ付けると総額600万円を超えますが、1.8Lモデルであれば随分と手頃です。

とはいえ今回の趣旨は「車にお金を掛けずに残りの人生を」。長く乗れる愛着の持てる相棒を探しているのに普段目につく内外装がかなり残念な仕上がりなのは困ったところです。実はこの試乗記もクラウンクロスオーバーのようにわざわざ残さずスキップしようかとも思いましたが、どうせなら候補に入らない脱落者たちも簡単に記録を残そうと思いました。

現状の最有力候補はトヨタ・クラウンスポーツとスバル・レガシィアウトバックです。どちらも不満はありますが、ほかに候補が見つからずに悩んでいます。

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