お庭のホースが見苦しくありませんか?
お庭への散水から掃除、洗車に至るまでお庭がある家では「ホース」が欠かせません。そんなホースが折角綺麗に整えたお庭を這っている姿は見苦しいものです。なんとか綺麗に目立たずホースを収納するために、ホースを地面に埋設してみましたので紹介します。
ちなみに我が家ではホースリールを使用しています。ホースリールと水栓の間のホースを長いものに交換し、便利な場所に設置していたのですが間を這うホースが気になって今回の埋設に至りました。
ホースを地面に埋めて大丈夫?
始めに、ホースを地面に埋めることでどんな問題が挙げられるでしょうか?
1.法的な問題
水道管や敷地内へ敷設されるパイプを無資格者が趣味で改造したり移設することは禁じられています。自宅だけでなく周辺の水質へ悪影響を及ぼすリスクもあり、水栓自体を移動したり、配管を追加するような作業は絶対にしてはいけません。
一方で水栓の蛇口より先は法的な制限はありませんから、ホースをどこのどのように伸ばしても、自身の敷地内であれば何も問題はありません。
2.外圧の問題
散水用のホースは「耐圧ホース」などと呼ばれることもあって勘違いしてしまうこともあるかもしれませんが、外からの圧力には無力です。
この「耐圧」の意味は内側からの圧力に負けないように、糸などで補強がされていることを意味しています。そのため地面に埋めた場合には、ホースが潰れてしまう問題があります。軽く砂利や土を被せる程度であれば問題ありませんが、上を歩いたり踏み固めると容易に潰れて水の勢いはなくなってしまいます。
つまり、ホースを埋設して使用する場合にはホースを保護する必要があります。
3.劣化と水漏れ、メンテナンスの問題
ホースを埋設する地中には目の細かい砂や粘土質の土だけではなく、小さな砂利や尖った石も紛れ込んでいます。ホース自体は地中に埋設され常に暗く高い湿度と安定した気温下にある限り、むしろ屋外にあるより長持ちしますが、ふいに傷が付いたり、あるいはいつの間にか劣化して穴があいて水が漏れてしまう心配があります。
また、ホースが劣化した際にいちいち地面をすべて掘り返さないとホースを交換できないのでは少し面倒くさいです。
こうした問題を解決しながら、実際にホースの埋設を進めてみます。
ホースの埋設に必要な部材
ホースの埋設に必要な部材は主に2つです。
1つ目はホースを通して保護しながら埋設するための「VE管」と呼ばれる樹脂製のパイプです。
一般的な内径15mmのホースは外径が20mmほどですから、「VE-28」を選択することをおすすめします。ホースは製品によって太さも違います。自分が使いたいホースの外径にあわせたパイプを選びましょう。こうした製品は通販ではあまり入手性がよくありませんが、ホームセンターであればどこでも置いてあります。電気工事関連の用品売り場にありますのでチェックしてみてください。2mで600円前後です。
2つ目はホースを埋設する際にカーブに対応するための「ベンド」と呼ばれる90度にカーブしたパイプです。これはVE管に接続することで自由自在に曲げたり、地中から立ち上げて使うことができます。
これ以外にもボックス類を併用して更に綺麗に仕上げることもできるのですが、基本的な埋設としては以上2点さえあれば問題ありません。VE管の切断はノコギリがあれば簡単にできます。専用のパイプソーもありますが、ご自宅にあるノコギリや100均のノコギリや糸鋸でも十分に切断可能です。
また、類似したものとして塩ビパイプもありますが、グレーの見た目があまりにも武骨なことや、ホースを通す内径30mm前後のパイプではベンドの入手性が悪いためVE管をおすすめしています。細い塩ビ管でも直角に曲がった部材は販売されているのですが、カーブが急すぎてホースが折れ曲がったり、ホースがうまく通って行かないという問題が出て来ます。「大曲」と呼ばれる大きく緩いカーブを描く部材もあるのですが、これがなかなかホームセンターでは在庫していないケースもあるため、最初からVE管を使うことをおすすめしています。
VE管の仲間に、PF管と呼ばれる蛇腹状の柔軟性あるパイプもあります。これは柔軟性があって取り回しが良く、埋設にも対応している良い製品なのですが、蛇腹状をしているためにホースを通そうとしても引っかかって通りにくいです。
ちなみにこれを機にホースを購入する場合におすすめなのがこちらです。
この製品の何が良いかと言うと、まず始めに巻き癖がほとんどついていません。ホースは基本的にぐるぐる巻きにされてギュッと縛って販売されています。ホースによっては梱包を解いてもくるくると巻き癖がついてなかなか真っ直ぐにならないことがあります。特に今回はパイプを通すため巻き癖があると厄介です。
次に表面がサラサラしています。これも同様にパイプを通す際にスルスルと面白いように入っていくのでオススメです。謳い文句通りであれば、将来的にもべとつくことがないため交換の際にも簡単に抜き取って、新しいホースをパイプに入れて交換することができるでしょう。
ホースの埋設手順
それでは早速ホースを埋設してみます。
我が家の水栓周りの状況はこんな具合です。蛇口にはタカギのラクロック蛇口分岐シャワーを使用しており、ホースリールの接続とは別に水栓で水を出して手を洗ったりすることができます。ホースリールはどこにでもあるアイリスオーヤマのホースリールです。
今回はこのホースリールを水栓から4mくらい離れた場所にある、ガーデニング用品の収納スペース付近に移設しようと思います。
1.ホースリール・水栓間のホース交換
まずはホースリールと水栓をつなぐ短いホースを、先ほど紹介した三洋化成のホースに交換します。交換はとっても簡単で、ホースリール側・蛇口側それぞれプラスチックのパーツをくるくると反時計回しに回すと取り外すことができます。
この部品を新しいホースにそっくりそのまま付け替えれば準備完了です。
2.ホースの埋設位置を決め、カットする
続いてホースの埋設位置に沿ってVE管を置いてみて、ちょうど良い長さでカットします。
VE管は薄手ですからどんなノコギリでも大した力もいらず、簡単に切断可能です。
3.ホースをVE管に通す
ホースをVE管に通していきます。先ほど紹介した三洋化成のホースなら、スルスルと面白いようにホースが通っていきます。直角にカーブするベンド部分もスルスルと通っていってくれます。
4.埋設する
ホースが通ったVE管を埋設していきます。
見えないように隠すことができれば良いですから10cmも埋めれば十分です。
ここで注意点があります。自宅の基礎周りには、電線の配管が埋設されていることがあります。水道管などの埋設管は基本的に地中深くにあるのですが、特にドアホンなどの外構設備や後からリフォームで照明等を追加している場合には、予想以上に浅い位置に埋設されていることも珍しくありません。
埋設する際には大抵PF管と呼ばれるVE管の仲間の蛇腹状のパイプに保護されているのですが、シャベルに体重を掛ければ簡単に突き破ってしまいます。
掘る際には、慎重に1か所穴を掘ってから、横に掘り進めるようにすると配管を傷つける心配が抑えられます。
地中から地面に飛び出す場所には、ベンドを上向きにして対応します。
上向きに飛び出したパイプとホースの間には隙間があるため、同色のビニールテープで保護しています。VE管が販売されている付近に、同色のテープが置いてあるはずです。ちなみに保護しなくても構いませんが、なんとなく気になるのでテープで巻きました。
VE管には、対応する様々なコネクタやボックスがあるためボックス類を活用して地中からパイプが顔を出す部分を綺麗に仕上げることも出来ます。もし「もっときれいに!」と思われる方は、VE管が販売されているコーナーの周辺にたくさんのボックスやコネクタ類が販売されているはずですのでチェックしてみてください。
余談:そもそもホースリール以外の選択肢は?
オシャレなホースホルダーや、伸縮自在な水を出すと伸びる伸縮ホース、くるくると巻き癖がついたコイルホースなど選択肢はいくつか挙げられるものの、普段からガーデニングで頻繁にホースを利用する方は結局ホースリールに行き着くものです。
ホースホルダー
ホースホルダーは、くるくる巻いたホースを引っ掛けて置ける大型のフックのようなものです。様々なデザインの製品があって、見た目はいいのですがホースは自分で巻き取る必要があって使い勝手はいまひとつです。
伸縮ホース
伸縮ホースは水をだすと3倍くらいの長さまで伸び、水を止めると縮んでいく不思議なホースです。実際に水を通すホース部分がかなり細いため水量は乏しいことや、結局縮んだホースは手で片づけなければなりません。またホースが縮む際に地面の砂やゴミなどが付着しやすく汚れやすいです。
コイルホース
コイルホースはくるくるとコイル状に巻き癖がついたホースです。ホース自体はかなり硬く、伸ばすにも力が必要で抵抗があります。蛇口側にも負担がかかるため限られたスペースでのみ使用するような特殊な用途以外では不便な点が目立ちます。
ホースリール
結局便利なのが普通のホースリールです。自動巻き取り機能付きのホースリールはまだまだ高価なものが多い割には評判も良くありませんから、現状では質の良いホースリールを選ぶのが一番無難な選択肢になります。
ホースリールの問題点として以下のようなものが挙げられます。
- ほとんどの製品が地面に置くタイプで場所を取る
- ホースを引き出す際にホースリール本体が動く
- 地面とホースリールの間が虫の住処になる
- 樹脂製は軽いものの安っぽく、経年劣化で見た目がどんどん劣化する
- 金属製は頑丈で高級感を備えた製品もあるが重い
- 中心付近はホースの巻き癖が付く
- ガイドがないと偏って巻き取ってよれやすい
- ガイドがあると本体が大型化してしまう
- 水栓とホースリースを近くに設置しないといけない
この記事で紹介したホースの埋設によって一番最後に挙げた「水栓とホースリースを近くに設置しないといけない」という問題を解消することができます。
通常、ホースリールは本体から1~2メートルほどの長さのホースが伸びており、これを水栓の蛇口にセットします。つまり、水栓から1~2メートル以内に設置する必要があるということです。これを解消するにはホースリールと水栓の間のホースを長いものに交換する必要がありますが、ホースリールと水栓の間にホースが伸びているのはあまりにも見た目が悪いです。そのため今回埋設することでその問題を解消したわけです。
お庭のホース事情は悩ましいものです。