レクサス・IS300 Fスポーツに試乗しました。
ISは国産車としては今や競合のいなくなったコンパクトFRセダンです。モデルチェンジの情報もないまま10年に渡ってマイナーチェンジを重ねながら生産されており、次期型はないだとか別物になってしまうだとか雲行きは怪しい1台です。
私はGTカーが好きで、そのなかでもBMW・5シリーズが特にお気に入りなのです。しかしもう良い年齢であることや、車好きな仲間たちと遠く離れた地に移住したことを機に車趣味をやめてお金のかからない車へ乗り換えるため試乗先を探しています。「車にお金を掛けずに残りの人生を」が趣旨の試乗記の第3弾です。
基本的には絶対評価としつつ、これまで試乗してきた車とも比較していきます。
〇 見た目はレクサスのなかでは随分マシ
レクサスはスピンドルグリルや妖怪のようなゴテゴテした、あるいはキワモノ系の見た目が特徴ですが、そのなかにおいてはマイナーチェンジを経たISは随分とまとまったデザインをしています。Fスポーツではややゴテゴテ感が増しますが、BMWでも絶対にMスポーツは選ばない私はもちろんバージョンLを選択したいと思いますが試乗者は残念ながらFスポーツしかありませんでした。
× インテリアは古臭い
新車で買えるとはいえ、元はと言えば10年前の車です。マイナーチェンジにより目に見えない部分で大きな変更が加わっているもののインテリアからにじみ出る「1世代前」の雰囲気は色濃いです。また安っぽい樹脂も多用されており質感もやや低めです。先日試乗したレヴォーグのようにセンスや質感とは真逆の汗臭いインテリアというほどではありませんが、若干のオヤジ臭さは感じます。とはいえ、物理ボタンも多く残っており操作性は良好です。
〇 ハンドリングは素直でそこそこ楽しめる
レヴォーグのように露骨に引き締まった印象はないものの、十分にハンドリングは素直で楽しめます。ハンドル支援がデフォルトでONになっており、ステアリング操作の違和感は非常に強いですが簡単にOFFにできるのでギリギリ許容範囲内です。
レヴォーグはかなり改善されたと営業マンは言いますが、やはり4WDのせいか極端なフロントヘビーのせいかハンドリングは素直さにかけていて不自然な反力も感じますが、こちらは純粋なFRでまさに意のままに操ることができます。長らくBMWを乗り継いでいたこともあって(BMWとは違いますが)しっくりと来るハンドリングを持っています。
△ 静粛性は低めだけどチューニングは行き届いている
静粛性はやや低めですが、Fスポーツは純正でポテンザを装着していることの影響が大きそうです。とはいえ路面状況に応じて極端に騒音が増減するような安っぽさは比較的抑えられていて乗っていて大きな不満は抱きません。
スバルのレヴォーグやアウトバックのように静かな時は静だけど突然うるさくなるようなギャップがないため乗っていて騒音が気になることはありません。車自体は静かだけど、そこにスポーツタイヤを履いたせいで少し騒がしくなっているなぁという感じで、ここはコンフォートタイヤを履けばかなり改善しそうです。
〇 完ぺきではないが車の挙動は一番良い
私が最も忌み嫌うのが車の揺れの収束の遅さです。BMWだけを乗り継いでいてハードルがあがっているのは否めませんがアウトバックは×、クラウンスポーツとレヴォーグはギリギリ及第点です。今回試乗してきた車のなかではこのISが最も良好です。
とはいえ試乗者は300 Fスポーツですがもし買うならバージョンLは確定で、エンジンは300hか350の2択になるため収束の良さと揺れ方に関しては実際に試すことができないのが残念です。
総評 70点 3シリーズほどではないが3シリーズより安い
やはり私はFRが好きなのかもしれません。
このISは全体的に好印象です。多少の質感の低さと世代遅れ感はあります。ハンドリングやパワートレインのフィーリング、車の挙動など全体的に3シリーズの方が好みです。ただし、その一方で安くて燃費が良く、おそらくレクサス品質で維持費も安いでしょう。こういったトレードオフの関係を考慮すると非常に有力な選択肢と言えると思います。
今回の乗り換えのテーマは「車にお金を掛けずに残りの人生を」です。例え走りにおいて劣化3シリーズだったとしても、それを上回るメリットがあります。