アブガルシアの最新パックロッド/モバイルロッド「クロスフィールド」の「MB」シリーズを購入して実釣にも行ってきましたのでレビューします。
「クロスフィールド」はその名の通り特定の魚種や釣法に特化していないバーサタイルルアーロッドです。そんなクロスフィールドに、今年「MB」の名が付くパックロッド/モバイルロッドが登場しました。
▼クロスフィールドMBのラインナップ
製品名 | タイプ | 継数 | 全長(ft/cm) | 仕舞(cm) | 自重(g) | ルアー(g) | PE | カーボン(%) | パワー | 希望本体価格 |
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XRFC-654ML-BF-MB | BC | 4 | 6’5″/195.6 | 53.0 | 120 | 2-18g | 0.4~1.2 | 98 | ML | ¥12,000 |
XRFC-704M-MB | BC | 4 | 7’0″/213.4 | 57.0 | 140 | 3.5-24g | 0.8~1.5 | 84 | M | ¥12,500 |
XRFS-734L-MB | SP | 4 | 7’3″/221.0 | 59.0 | 107 | 0.8-14g | 0.6~1.2 | 89 | L | ¥12,500 |
XRFS-835M-MB | SP | 5 | 8’3″/251.5 | 54.0 | 151 | 5-30g | 0.8~1.5 | 77 | M | ¥13,000 |
XRFS-935M-MB | SP | 5 | 9’3″/281.9 | 60.0 | 175 | 7-35g | 0.8~1.5 | 99 | M | ¥14,000 |
元々クロスフィールドにはテレスコピック(振出)タイプのロッドがありましたが、この「MB」シリーズは4本継ぎ、5本継ぎとなっており、テレスコピックに比べてロッドとしての基本性能が高いと言えます。更に継ぎ方は並継ぎではなく、高価なモデルに採用されることの多い印籠継ぎを採用しており、美しいしなりと強度を実現しています。
そんななかで、私は最も長く硬いXRFS-935M-MBを選択しました。
シーバス、ライトショアジギング、ロックフィッシュ、エギングなどに適性があるとメーカーサイトでは謳われています。
寸法・重量・質感・スペックなど
寸法・重量・質感・スペックなどは以下の開封前レビューで行っています。
また、選定の理由は以下の記事で紹介しています。
キャスティングについて
実釣前レビューでは、硬さが気になると指摘していました。
しかし、これは杞憂と言うか勘違いだったようです。
軽めのルアーをキャストしても、重めのジグをペンデュラムキャストしても気持ちよく振りぬいてキャストすることができます。
アブガルシア クロスフィールド XRFS-935M-MBの適合ルアー重量は7gから35gとなっていますが、7g~14g程度の軽めのルアーを投げようとするとロッド全体のしなりを利用するペンデュラムキャストは難しく、通常のオーバーヘッドキャストをした方が快適です。
15gあたりからペンデュラムキャストでも投げやすくなってきて、14gのジグヘッドやシンカーとワームを組み合わせる(17g程度)と気持ちよくキャスティングすることができます。
20g、30gのジグを投げると気持ちよく飛ばすことが出来ますが、30gの方がよく飛んでいきます。
40gになると30gと比べて飛距離は伸びない印象で、個人的には30gが一番マッチしている気がします。
ジグ以外のルアーは少々飛距離が落ちる印象を受けます。20g前後のミノーやペンシルなどのハードルアーも快適に投げることが出来ます。
近い性能を持つロッドとしてシマノ ムーンショット S1006Mを所有しています。
ロッドを振った感触としてはムーンショットの方が柔らかい気がするのですが、ムーンショットでは40gが最も飛距離でます。
硬い気がするのはやはり勘違いのようです。
なお、シマノ ムーンショット S1006Mでは20g以下の軽めのハードルアーでは気持ちよくキャストできません。
硬い気がする原因は重心が先端に近いのかな?と想像していますが、これは計測したわけではないのでわかりません。後日検証します。
追記:重心は特に先端寄りではありませんでした。
ただ原因はわかりました。
ロッドを軽くぶらぶら振ってしならせると、ムーンショットが継ぎ目(ロッドの中央付近)からしなるのに対して、アブガルシア クロスフィールド XRFS-935M-MBはロッドの3分の1あたりからしなります。
戻ろうとする力も強い(ロッドが硬い?)ような感じです。
ムーンショットのような2本継ぎロッドは軽い負荷からロッド全体を使ってルアーを投げたりファイト出来るものの、5本継ぎのアブガルシア クロスフィールド XRFS-935M-MBは特に軽い負荷の時に先端よりばかり使ってしまうのだと思います。
感度について
感度は良好です。
底の状況や魚の当たり、砂の上を引きずっている感覚や小石を乗り越えた感覚、そうしたものをきちんと捉えることができます。
手に伝わる感覚はもちろんのこと、竿先も敏感に反応して動いてくれます。
10cmに満たない小魚がすれ掛かりした時もしっかりと魚の引きを手元に伝えてくれました。
しなりについて
根掛かりした時に思いっきりしならせてみたのですが、綺麗な弧を描いてしなります。
これは印籠継ぎを採用したお陰なのかもしれませんが、実際に魚とやり取りしている時も魚の引きに対してしっかりとロッドがいなしてくれて、5本継ぎだとは信じられないほど違和感がありません。
特別優れているわけではないですが、同クラスの2本継ぎと比べても特別劣らないと感じました。
バイクへの積載性
私の場合、バイクで釣りにいくためにこのアブガルシア クロスフィールド XRFS-935M-MBを購入しました。まだ最適化が進んでおらず単純に積んだだけですが、こんな具合です。
ちょっと飛び出るものの付属のセミハードケースに入れてリアシートにツーリングネットで固定することが出来ます。肩紐があるので背負うこともできます。
また、こうしてリュックに収めることもできます。
セミハードケースに入れると全長は66cmになりますから、大型のリュックでなくては収めきることはできません。
そのため、タックルバッグを兼ねて、こうしたカメラの三脚やロッドなどの長物を固定できるタイプのリュックの購入を検討しています。
ただ、リュックでは専用のタックルバッグと比べて使い勝手が落ちますから色々と考えを巡らせているところです。
バイクでのアブガルシア クロスフィールド XRFS-935M-MBの運用は、より最適化できた時に改めて記事にしたいと思います。
【追記】
このロッドをもってリュック1つで釣りに行くスタイルが完成しました。
総評
特筆するべき優れた点は持たないまでも、同クラスの2ピースロッドと遜色ない性能を有している優れたロッドだと思います。
パックロッドやモバイルロッドと言うジャンルは、高級品のツアーロッドを除くとあまり性能がよくなかったり、耐久性が低かったり、メーカーが力を入れておらず古臭いままだったりします。
例えば私が検討していたシマノ・トラスティックは、なんと2010年モデルです。
ロッドの世界で10年は非常に大きいものです。
そんななかで、アブガルシア クロスフィールドのMBシリーズは2018年に投入されたモデルです。
SiCガイドはもちろんのこと、最新技術や印籠継ぎなどのコストのかかる製法を継ぎ込んだ基本性能の高いモデルとなっています。
希望小売価格が14,000円というのは驚かされます。
長期的には耐久性の面で同クラスの2ピースロッドより劣るのかもしれません。
しかし、それ以外の性能においては希望小売価格が20,000円のシマノ ムーンショットと比べても遜色ないと感じています。
むしろ、キャスティングにおいてはシマノ ムーンショットよりアブガルシア クロスフィールドの方が優れているように感じます。
特に10g台後半から20g台のジグ以外のミノーやペンシル、ワームといった空気抵抗のあるルアーを投げた時に、アブガルシア クロスフィールドの方が快適にキャストすることが出来ます。
しなりやコシが適切な感じです。
30gを超えるとどちらのロッドも安定して投げることが出来ますが、少し軽めのルアーにおいてはアブガルシア クロスフィールドの快適さが顕著です。
釣り具の世界では、年式が新しいというのはそれだけで性能の高さの指標になります。
それを差し引いても、5本継ぎという不利なスタイルと定価14,000円という低価格ながらこの基本性能や使い心地の良さは素晴らしいと思います。
あえてパックロッドを探していない方にもおすすめできるレベルの非常に優秀なロッドだと思います。
特に私のようにバイクで釣りに行く方、あるいは自転車や電車で釣りに行くような方にはおすすめです。
パックロッドはその構造上、どうしても耐久力が劣ります。
また、バイクや自転車、電車での運搬では破損のリスクが高まります。そう考えた時に、この定価14,000円という低価格は非常に大きな魅力ではないでしょうか。