ブルーベリーは地植え・鉢植えを問わず育てやすい果樹のひとつです。多くの果樹のなかでも特に栽培が容易で寒さ・暑さにも耐えてたくさんの実をつけてくれます。栽培も非常に簡単で1年を通して手間のかからない果樹です。そんなブルーベリー栽培における唯一の難所が「剪定」です。
剪定は主に以下の3つの作業を行うことで木の形を整え養分を木全体に適切に行き渡らせます。
- 不要な枝を取り除く
- 花芽を減らす
- 葉芽を取り除く
剪定の手順は書籍やインターネット上でたくさんの情報を見つけられるものの、奥が深いため難しくてよくわからないという方も珍しくありません。しかしその本質は非常にシンプルです。100点満点の剪定をすれば収穫量を最大化できますが、本業のブルーベリー農家ではなく趣味の園芸であれば必ずしも100点満点の剪定をする必要はありません。要点さえ押さえていれば大丈夫です。70点の剪定でも50点の剪定でも木は枯れることもなければ実もつけてくれるものです。
ブルーベリー剪定の要点
これだけ理解していればOKという3つの要点を紹介します。これらの要点を押さえれば、あとは好みに合わせて好きな木の形にするも良し、木を大きくするも良し、花や実をたくさんつけさせるのも良いでしょう。
1.剪定は1月~2月の休眠期に行う
剪定は少量であればいつ行っても構わないのですが、一番木に影響が出ないのが寒さの厳しい1月~2月ころです。特に寒さの厳しい時期に行うのが望ましいですが厳密に正解があるわけではありません。温暖な地域では2月後半には暖かくなり始めることがあるので、1月後半から2月前半のあいだに行うのが望ましいでしょう。
2.枝の先端にしたふっくらとした「花芽」に花が咲き実をつける
剪定を行う1月~2月ころはブルーベリーの休眠期ですが、よく見ると葉の落ちた枝にポツポツと小さな芽が出ていることが確認できるはずです。このなかでも枝の先端付近にある大き目のふっくらとした芽を「花芽」と呼び、その名の通り成長すれば花をつけ、そして実をつけます。枝の先端付近に数個程度はまとめて確認できることが多いです。
花芽をたくさん残せばその年に多くの花と実をつけますが、木の養分が花や実に奪われて木自体の成長が妨げられてしまいます。
花芽の数に目安や上限はありませんが、苗を植え付けて2~3年は木も小さく成長を促したいので花芽をつけた枝の先端部を切り落とす剪定を行います。そうは言っても花や実を少しは楽しみたい場合には3割程度を目安に花芽を残してください。もし木の成長を最優先に考えるのであればすべての花芽を落としてしまって構いません。
3.枝の中間につく小さな「葉芽」から新しい枝が伸びる
枝の先端にふっくらとつく花芽に対して、枝の途中に小さくつく芽は「葉芽」と呼び、そこから新しい枝が伸び始めます。新しい枝には翌年以降に花を咲かせ実を実らせます。一方で、一度実をつけた枝の先端は段々と枯れ始め再度実をつけることはありませんので下図のように枝を更新していく必要があります。そのためにも葉芽を残し新しい枝を育てておく必要があります。
昨年実をつけた枝1 | 花や実をつけず枯れていく |
花芽 | その年に実をつける |
葉芽 | 翌年に花芽ができて実をつける |
葉芽をすべて落とすとその年に新たに成長する枝が少なくなり、翌年の花や実の数が減ることになります。木全体の形を見て密集しすぎている場所や、ここから枝が伸びたら不細工だなと思う葉芽は摘みとってしまいましょう。
ポイントは枝葉を密集させ過ぎないことです。それ以外は自由にお好みの木の形を想像しながら剪定して構いません。
成木の剪定と「ひこばえ」
ブルーベリーの基本的な剪定はここまで紹介した通り花芽と葉芽を適切に残し、枝葉の密集を避けて好みの形を作り上げることです。しかし、木が成長するにしたがって株本から伸びる「ひこばえ」が増え枝葉の密度があがり密集が避けられなくなってきます。
ブルーベリーは1本の大きな幹から枝が分かれる大木のような成長の仕方はせず、株本から複数本の枝(ひこえば)が伸びてでる性質があります。ひこばえの数は多ければ多いほど良いわけではありません。目安としては10本程度を上限に考えますが、理屈としては「枝葉の密集を避ける」という1点に尽きます。また庭木としてブルーベリーを育てる場合には、好みのボリューム感や木の形になることも重要な点です。こうした密集を避ける観点やデザイン的な観点から考えて、枝葉が多すぎるようであればひこばえを株本から切り詰めてしまいます。
またブルーベリーは一度花や実をつけた枝先が枯れていきますから、何度も実をつけた枝は段々と実をつけなくなってしまいます。そのため古い枝は株本から切り落とし、新しいひこばえに更新する作業が必要になります。古い枝を切り落としてしまったときのために、ひこばえはすべて取り除かずいくつか残して「予備」として成長させておくと良いでしょう。
- 一度実をつけた枝全体が枯れるわけではなく、花や実をつけた枝付近(先端部)が段々と枯れて翌年以降は花や実をつけなくなります。 ↩︎