大手国内オフィスチェアメーカーであるイトーキが販売するゲーミングチェア「クロスフォーカスチェア」のガスシリンダーを交換しました。使用する部品や手順は、多くのオフィスチェア・ゲーミングチェアと共通ですので是非参考にしてみてください。
イトーキ・クロスフォーカスチェアはクロス張りの落ち着いた雰囲気が特徴で、ゲーミングチェアにありがちな目に痛い色合いとは違ってインテリアにマッチします。価格は定価で39,900円、実売価格で38,000円程度とゲーミングチェアやオフィスチェアとして見れば比較的安価~普通程度の価格帯です。イトーキというメーカーと装備を考えればコストパフォーマンスに優れる価格設定と言えると思います。
そんなクロスフォーカスチェアを使い始めて2年弱。早々にガスシリンダーが抜け、使用中にゆっくりと座面が勝手に下がってしまうようになりました。膝が窮屈なことに気が付いて座面の調整レバーを引くと、座面が上がってそれまで座面が下がっていたことに気が付くわけです。
これを繰り返しながらだましだまし使っていましたが、ようやく重い腰を上げて修理に乗り出しました。
はじめに
まず始めに、イトーキなどの大手メーカーであれば修理のサポート体制も充実しています。更に部品だけの販売もあり、公式サイトなどから純正部品を購入することが可能です。
- 安く直したい
- すぐに直したい
- 自分で直したい
そんな方以外は安心のメーカー修理をおすすめします。
また、ガスシリンダー交換は嵌合部が固着しており取り外しに一苦労することがあります。交換には騒音も発生するため集合住宅や騒音にシビアな環境では交換は難しいと言えます。ただし、メーカーに修理を依頼する場合には商品の梱包や発送の手間、そしてモノが大きいだけに高額な送料が発生します。
高さ調整しないならお手軽&数百円で万事解決
今使っているオフィスチェアの高さ調整機能って必要ですか?
多くの方は、一度自分にちょうど良い高さに調整すればそのまま調整することなく使い続けるはずです。調整機能が不要であれば、ガスシリンダーの動きを固定してしまうことで簡単に解決することができます。
固定に使うのはホースバンド。ガスシリンダーの直径は、ほとんどのオフィスチェア・ゲーミングチェアは28mm径です。これは規格化されており、よっぽど特殊なもの以外は28mmです。例えば以下の商品のような28mmをカバーできるホースバンドを使って固定します。
100円~200円程度で手に入ります。
これは典型的なオフィスチェアの座面下の様子です。
青矢印で示した銀色の部分がインナーチューブ(直径28mm)です。赤矢印で示した黒い部分がアウターチューブ(直径50mm)です。銀色のインナーチューブが黒いアウターチューブの中に出入りすることで高さが調整されます。
銀色のインナーチューブには樹脂製のカバーがついていることが多いですが、写真では取り外しています。つまり、黄矢印で示したつなぎ目を何かで固定してしまえば高さはそれ以上下がらなくなります。ここに先ほど紹介したホースバンド等を巻き付けて締めこんでやれば、座面が下がることはなくなります。
ガスシリンダーの交換
さて、今回はホースバンドを使った簡易修理ではなくガスシリンダーを交換することにします。
私が使うイトーキ クロスフォーカスチェアは座面の高さが430mm~525mmと非常に低く、一番高い状態でも低すぎると感じていました。一般的に座面の高さは立ったときの膝の高さ付近が良いとされています。今回はガスシリンダーを長いものに交換することで、この座面の調整幅を高くしようと考えたわけです。
そこで今回使用したガスシリンダーがこちら。
サンワサプライが販売する交換用ガスシリンダーです。寸法は一般的な28mm×50mmで、多くのオフィスチェアやゲーミングチェアに使用できます。価格は2000円~3000円程度で販売されており非常に安価です。
交換手順は決して難しくないのですが手持ちの道具次第で難易度が変わります。何せ、このガスシリンダーは上と下が穴にすっぽりはまっているだけです。摩擦で固定されているだけですから、これをなんとかして引き抜かなければなりません。とはいえ、簡単に人の力で引き抜けるものではありませんから、ハンマーを使うのが常套手段です。
金属製でもゴムハンマーでもなんでも構いませんが、ある程度重さのあるハンマーでないと十分な衝撃が与えられません。叩くのは交換するガスシリンダーですから、傷は気にしなくても構いません。
最も適しているのは、手に反動が来ないショックレスハンマーです。
クランプがあるなら活用しよう
ちなみに、もしクランプを持っているならクランプを活用すると労力を掛けずにガスシリンダーを取り外すことができます。例えば広げる方向に使えるクランプを持っていればこのようにシリンダーを抜く方向に力を掛けて、ハンマーで衝撃を入れると比較的簡単に抜き取ることができます。
クランプを掛ける時は出来れば3つ、少なくとも2つ掛けることでシリンダーに対してまっすぐと力がかかるように気を付けます。上の写真ではわかりやすく1つしかクランプを掛けていませんが、これだとシリンダーに対して斜めに力がかかって抜けづらくなってしまいます。
また、通常のクランプでもシリンダーを角材などで押さえながら押し出すように力を加えれば簡単に抜き取ることができます。
クランプである程度力を掛けたら、ハンマーで軽く叩いて衝撃を与えてやるとスコンと抜けます。
シリンダーの上側、インナーチューブ側はオフィスチェアの構造によって異なるのですが、座面から取り外すとインナーチューブの頭が見えますから、適当な角材を当てがってハンマーで叩くと簡単に抜き取ることができます。
いずれの手順でも、安定した場所にオフィスチェアを固定することが肝要です。
道具があるなら治具(プーラー)を作ろう
ちなみにもし手持ちの道具があるのであればプーラーを簡単に自作することをおすすめします。
M10以上の寸切りボルトと角材があればOK。ボルトを回す力で簡単に引き抜くことができます。(でも、そんな道具を持ち合わせている人はこんな記事見ないでしょう!)
まとめ
いかがだったでしょうか?
ガスシリンダーは高級オフィスチェアでも早ければ2年程度で劣化し座面の高さを維持できなくことがある部品です。その割に交換作業は道具や場所がないと厄介な部類に入ります。自分しか使わず高さ調整が不要であればホースバンドを使った方法をおすすめします。