雑談やゲーム配信からポッドキャストや歌の収録など、今やプロフェッショナルなスタジオ以外でもマイクを購入する層は拡大しています。
そんななかでダイナミックマイクはコンデンサーマイクに比べて多くの利点があり、あえてダイナミックマイクを選ぶ方も少なくないでしょう。しかし、実際にダイナミックマイクを購入するとその音量の小ささにガッカリしたり、故障を疑う方も少なくないはずです。ダイナミックマイクは構造的に音量が小さく、オーディオインタフェースやソフトウェア側ででゲインを上げても十分な音量が得られる前にノイズが気になり始めることも珍しくありません。
大抵の場合はハード・ソフト両面の設定で最低限の音量を確保することができますが、配信や収録の都合上、どうしてもマイク自体の音量を上げたいということも珍しくありません。(例えば、収録中に体が動いてマイクと違う方を向いたりマイクと距離ができてしまう場合など)
良いマイクと良いオーディオインタフェースを使用することでノイズは抑えられますが、価格に対して得られる効果は少なく、音量が小さいという問題は常に付きまといます。そんな時に便利なのが「マイクプリアンプ」です。
今回はダイナミックマイクのエントリーモデル「SHURE MV7X」を例にとって音量対策を紹介します。
マイクプリアンプとは
マイクプリアンプとは、その名の通りマイクに接続して音量を大きくしてくれる装置です。「プリ」には前に置くものという意味があり、「アンプ」は大きくするものという意味があります。マイクの前に接続して音量を大きくしてくれる装置というわけです。
そこでマイクプリアンプと検索をかけても、様々な見た目・機能の商品が見付かって「どれがどれかわからない」という方も少なくないでしょう。おそらくオーディオ関連の十分な知識がなければ混乱するはずです。しかし心配はいりません。
単純にダイナミックマイクの音量を上げたい場合には、幸か不幸か選択肢は非常に限られます。具体的には執筆時点で入手性を考慮した場合に候補に挙がるのはたったの3機種です。
TRITON AUDIO FetHead
TRITON AUDIO トリトンオーディオ 欧米大ヒット マイク アンプ マイクプリアンプ ダイナミックマイク 音 増…
Cloudlifter CL-1
Cloudlifter CL-1 Cloud Microphones 《圧倒する透明感》【日本語版導入ガイド付き】 国内正規品
sE Electronics DM1 DYNAMITE
TRITON AUDIO FetHeadとsE Electronics DM1 DYNAMITEは10,000円~13,000円ほど、Cloudlifter CL-1は20,000円~22,000円ほどで購入可能です。
いずれの製品もノイズ低減・音量アップ・音質改善を謳っており、おおよそ25~28dBの音量アップが見込めます。はっきりと言ってこれだけ音量が稼げればどれを選んでも問題ありません。いずれもXLR端子が両端にオス・メスとついており、マイクとオーディオインタフェースの間に挟み込んで使用します。
特に小型なボディが売りのTRITON AUDIO FetHeadの場合にはマイクやオーディオインタフェースに直接接続しても違和感がありません。sE Electronics DM1 DYNAMITEはやや大型になるためマイクに接続すると収まりが悪く、このようにマイクアームなどに固定する形が最も安定します。
SHURE MX7VにXLRケーブルを接続した通常の状態 | TRITON AUDIO FetHeadを接続した状態 | オーディオインタフェースにTRITON AUDIO FetHeadを接続も可能 |
一方で、箱型になっているCloudlifter CL-1はマイクやオーディオインタフェースに直接接続するというよりは間に挟み込んで設置する必要があります。オーディオインタフェースと並べて設置しておく使い方になる上、XLRケーブルが2本必要で価格も高額、音量を稼ぐためにマイクプリアンプを買う場合にはCloudlifter CL-1に優位性はありません。
マイクプリアンプには48Vファンタム電源が必要
さて、それではマイクプリアンプはどんな仕組みで動作するのでしょうか?
ここでは細かな説明は省きますが、簡単に言ってしまえば電気の力でマイクから入力された音声を大きくしてくれています。ダイナミックマイクは電源が不要で、オーディオインタフェースに接続する際にも48Vファンタム電源のスイッチをオフにして使用することができます。
しかし、マイクプリアンプを使う場合にはこの48Vファンタム電源をオンにする必要があります。オンにしないとマイクを認識しないため注意してください。
ダイナミックマイク+プリアンプかコンデンサーマイクか
ここまでの説明で「1万円以上もする追加機器が必要ならコンデンサーマイクで良いのでは?」と思われた方も多いと思います。まさにその通りです。もしあなたがダイナミックマイクとコンデンサーマイクの特徴を比較して、コンデンサーマイクでも問題ないと判断されたのであればプリアンプ代を上乗せして良いコンデンサーマイクを購入するのは良い選択肢と言えます。
ダイナミックマイクは基本的にマイクを口元において距離や向きを変えずに使用することを想定されています。カラオケやヴォーカリストが手に持ったマイクをイメージするとわかりやすいですが、意図的にボリュームの強弱をつけるような特殊なシチュエーション以外ではマイクは口元に固定です。
一方で昨今増えたゲームや雑談などの配信では体を動かしたり顔の向きが変わったり、マイクに対して常に口元が固定されません。こうしたシチュエーションでも常に音量を確保したい場合にはダイナミックマイクは不向きです。配信における定番マイクがオーディオテクニカ・AT20系であることを考えるとよっぽどのこだわりがない限りはコンデンサーマイクがおすすめです。
オーディオテクニカ AT2020 コンデンサーマイク XLR 動画配信 宅録 ポッドキャスト 実況 DTM レコーディン…