フィンチ、オウム、インコなど多くのペットとして飼われる鳥は「中毒」の危険に隣り合わせです。
なぜなら人間が普段使う道具や食べる食べ物のうちいくつかのものには鳥にとって危険な「中毒症状」を引き起こす可能性があるからです。この記事では鳥にとって害になるもののうち、日常生活のなかで触れる可能性があるものをまとめて紹介しています。
中毒を引き起こす食べ物
ペットと触れ合っていると、ペットが欲しがるからといってついつい人の食べる食べ物を与えてしまいがちです。
少量なら問題ない、ペットが欲しがっているから毒にはならない。
そんな考えは誤りです。
いくつかの食べ物は鳥が好んで食べたがるにも関わらず鳥にとって有毒になります。
脂質の高い種
鳥への餌として「種」は定番中の定番です。
しかし、鳥への餌として適した種とそうでない種が存在します。
そのなかで適していないにも関わらず与えられがちなのが「ひまわり」と「麻」の種です。
一般的にペットとして飼育される鳥が脂質が低い(10%)の食事が適当とされています。
しかし、上記「ひまわり」や「麻」の種は脂質が非常に高く簡単に10%を上回ってしまいます。
これだけなら餌を変えれば良い話ですが、脂質には依存性があり、与えすぎるとそれ以外の餌を食べなくなってしまいます。
また、症状が進行すると投薬が必要となります。
塩分
塩は最も身近で危険なもののひとつです。
特に人が食べる食べ物には多くの場合、塩分が使用されており注意が必要です。
塩味がないものであっても塩自体は使われていることが多いです。
また、カルシウム摂取用に与えられることがある「塩土」(下図)を食べ過ぎることも原因のひとつです。
特に発情期には「塩土」を与えないようにするなど注意が必要です。
神経系の症状が現れ、凶暴になる、動きが悪くなる、痙攣するなどの症状が現れ最悪の場合死に至ります。
アルコール
アルコールはペットに与えていけないものの代表的なものです。
鳥が進んでアルコールを摂取することはありませんが、目の前に差し出された場合には誤飲してしまう場合があります。
アルコールによる中毒症状はほかの中毒症状に比べて急速に自体が悪化します。
塩分の過剰摂取と同様に神経系の症状が現れ、短時間で死に至る可能性もあります。
チョコレート
チョコレートは鳥だけでなく多くのペットに有害であると知られています。
鳥は甘味を好む傾向にあるため、そのままむき出しでおいておくと食べられてしまう場合があります。
また、パッケージに入れてあってもいたずらする中でパッケージが破れ、中身を食べてしまうことがあります。
循環系、神経系、消化器系など様々な症状を比較的早い段階で発症します。
他の中毒症状に比べて発生件数が多く、くれぐれも取り扱いには注意が必要です。
コーヒー
コーヒーを意図的にペットに与えることはないと思います。
しかし、鳥はマグカップなどの縁に乗って中身を飲んでしまうことが良くあります。
コーヒーに含まれるカフェインはほかの中毒症状に比べると軽いものの中毒症状を引き起こす可能性があります。
鳥と遊ぶ際にはチョコレートとあわせて注意を払う必要があります。
アボカド
アボカドの果実には非常に高い毒性物質が含まれています。
家庭に普通にある食べ物であり、鳥も好んで食べてしまう果実です。
少量の場合には回復することもありますが、大量摂取した場合には死に至る危険があります。
アルコールに並んで大変危険な食べ物です。
果物や卵
果物や卵は好んで食べる食べ物のひとつですが、一般的にたんぱく質が高めと言われています。
たんぱく質の過剰も中毒症状を引き起こすため、果物や卵などを与える頻度は控えめにする必要があります。
また、ヒナに与える餌は大人の鳥が食べる餌に比べてたんぱく質が非常に多く含まれています。
ヒナから若鳥に育った後もヒナ用の餌を与え続けていた場合には、たんぱく質の摂取量が過剰となりこれも中毒症状を引き起こす可能性があります。
ヒナの水分過剰
水中毒という言葉は聞いたことがある人が多いと思います。
ペットの鳥の場合、特にヒナの挿し餌の段階で水分が過剰になり中毒症状を起こすことがあります。
具体的にはヒナは発育に従って餌の水分量を減らす必要があります。
これを怠ったり、適切な水分量に調整できていない場合には中毒症状を起こす場合があります。
ヒナの飼育には細心の注意が必要になります。
中毒を引き起こす植物
室内で栽培される観葉植物の葉には毒性物質が含まれていることが多く、これらを誤って食べてしまった場合には中毒症状を引き起こす可能性があります。
残念ながら市販されている観葉植物のなかで、どれが安全というデータは見つかりませんでした。
基本的に鳥を飼い、放鳥するのであれば観葉植物や植物全般は置かない方が良いでしょう。
例えば以下のような植物の葉には鳥に害のある物質が含まれています。
- ポトス
- スズラン
- クラウンベッチ
- スパティフィルム
- パセリ
- ポインセチア
- シャクナゲ
基本的には葉に含まれるシュウ酸カルシウム結晶が鳥にとって有毒です。
上記以外にも多くの植物がシュウ酸カルシウム結晶を含んでいます。
繰り返しになりますが、放鳥する部屋には植物は一切置かないようにすることを強くお勧めします。
中毒を引き起こす金属
鳥は消化を助けるために小石や砂を摂食する性質があります。
このため金属片なども摂食するほか、柔らかい金属であれば硬いクチバシで突き砕いてしまうことがあります。
銅
銅は加工が容易で見た目も美しく、導電性が高いなど様々な優れた特性から一般家庭においても実は多く存在するもののひとつです。
最も一般的なのは電源コードをいたずらしている際に、被膜を破ってなかの電線を食べてしまう場合です。
それ以外にも銅は調理用品や食器類、インテリアにも使用されることが多いです。
柔らかいために鳥が執拗に突けば簡単に摂食することができてしまいます。
鉛
鉛と言えば毒性の高い金属のイメージが強いと思いますが、鳥にとっては非常に危険な金属になります。
鉛はその比重の高さから何かしらの「重り」として使われることが多く、一般家庭においても使用されることが多いです。
また、塗料として使用されることもあります。
発見が困難なごく小さな鉛片であっても鳥は摂食してしまう可能性があるため、放鳥する部屋は常に綺麗に保つことが重要です。
亜鉛
亜鉛は鉛に比べて更に多くのシーンで使用されます。
特に使用されることが多いのがメッキとしての亜鉛です。
亜鉛メッキと呼ばれ、高い耐食性や防錆性能のために使用されるケースは非常に多いです。
ペット用品であっても亜鉛メッキ加工が施されていることが珍しくないほどです。
基本的にメッキされた金属は使用を避けるか、鳥が触れない場所に置くようにしてください。
ただし、ペット用品として使用されることからもわかる通り鉛に比べると毒性は低いです。
中毒を引き起こす空気中の物質
鳥は空を飛ぶために非常に運動量が多く、そのために呼吸器系は哺乳類に比べてずっと強いです。
つまり、多くの空気を吸うことができてしまうため空気中の毒素に弱いです。
ハイターなどの消毒液
ハイターなどの消毒液には次亜塩素酸ナトリウムと呼ばれる物質が含まれています。
これは鳥にとって有害で、特に高濃度では簡単に死に至ることがあります。
また、こうした薬剤は「混ぜるな危険」と表示されているように、特定の物質と混ぜることで毒性のある物質が発生させられることがあります。
タバコ
タバコに含まれるニコチンやタールは鳥にとっても毒性が高いです。
タバコの煙だけではなく、喫煙者の手を突くなどして症状が現れることがあります。
呼吸器系の症状や神経系の症状が現れ、最悪の場合にはごく短時間で死に至ります。
溶剤の揮発性物質
接着剤や塗料は多くの場合、鼻につく不快な臭いがするものです。
これは溶剤が揮発するために起こるもので、種類によっては鳥に有毒となります。
近所の家の塗り替えをしている、家の塗り替えをしている、家の中で塗料を使っている、接着剤をたくさん使った。
そんな場合には鳥を一時的に避難させた方が良いかもしれません。
アスファルト
アスファルトは道路に使われる黒いアレのイメージが強いと思いますがその通りです。
道路にアスファルトを敷設する際には、敷き詰めたアスファルトを高温で熱します。
その際にアスファルトが揮発し空気中に舞うことがあります。
近所で道路工事が行われている場合などは窓を閉め切ったり一時的に避難するなど対処が必要です。
フッ素樹脂
鍋やフライパンに使われるフッ素樹脂は高温で揮発します。
フッ素加工が施された鍋やフライパンは「空焚き厳禁」と表示があるはずです。
なぜならフッ素樹脂は高温で揮発して毒性のある物質が排出されるからです。
比較的危険度は高く、すぐに死に至る可能性もあります。
まとめ
鳥に害のある物質をまとめました。
食べ物・植物・消毒・フッ素樹脂・金属など比較的リビングやキッチン周りで使われることの多いものが多く含まれていることがわかると思います。
そのため、鳥の放鳥は可能な限りキッチンやリビングを避けた方が良いと言えます。
また、小さな金属片やゴミの誤食もあるためこまめな掃除が望まれます。