災害への備えとしてポータブル電源と家の太陽光パネルどっちが良い?

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災害備蓄として電気を備蓄したいと考えたときに候補にあがるのが「ポータブル電源」と住宅に設置する「太陽光パネル+蓄電池」の組み合わせです。結論から言えば備蓄として優秀なのは「ポータブル電源」です。住宅の「太陽光パネル+蓄電池」は災害備蓄としては不利な側面が多いです。

私自身が東日本大震災で被災した経験からも備蓄への意識は高く、今回ポータブル電源を買うに至りました。なぜポータブル電源を選んだのか、なぜ家の太陽光パネルと蓄電池の組み合わせが不利なのか紹介します。

太陽光パネル+蓄電池のメリットとデメリット

ポータブル電源の優位性を知るために、まずは住宅設備としての太陽光パネル+蓄電池の組み合わせのメリットとデメリットを紹介します。

メリット1.大容量

一つ目のメリットが大容量であることです。

住宅設備として太陽光パネルと蓄電池を導入する場合、太陽光パネルの面積は予算や環境に左右されるもののポータブル電源のオプション品にあるソーラーパネルに比べて圧倒的に多きな発電量を得ることができます。

また蓄電池も小さなものでも6kWh程度、大きなものでは15kWhを超えます。これをポータブル電源と比較すると蓄電池の最小クラスである6kWhという容量は市販のポータブル電源の最大クラスの製品と同程度の容量です。

メリット2.コストパフォーマンス

二つ目のメリットがコストパフォーマンスです。

太陽光パネルと蓄電池を導入する場合の費用は家の広さや環境により様々ですが少なくとも100万円は超える金額になります。これは非常に高額ではありますが、以下の3つの要素のお陰でポータブル電源よりずっとコストパフォーマンスに優れる結果になります。

  • 自治体の補助金があること
  • 電力会社が初期費用無料のリースサービスなどを展開していること
  • 日々の電気使用を賄え、余った分は売電収入を期待できること

特に2点目のリースサービスは魅力的な選択肢で、地域の電力会社のホームページ等で確認することができます。基本的に初期費用無料で月額1万円程度のことが多いですが、電気使用量を賄うことができるため実質負担はより小さくなります。またリース契約には期間が設けられており、その期間を終えたのちは太陽光パネルと蓄電池設備はそのまま無償譲渡されることが多いです。

3点目の電気使用量を賄うことができる点も魅力で、年間10万円以上の節約を期待できる家庭も多いはずです。我が家ではシミュレーションした限り、売電を考慮せずとも年間15万円以上の節約になるため10年ほどで元を取ることができる見込みでした。

デメリット1.耐震性が下がる

次にデメリットの一つ目は耐震性が下がる点です。

太陽光パネルは年々技術が進化し軽量化や取り付け技術の進化も目覚ましいですが、それでも非常に大きな重量物であることに変わりはありません。太陽光パネルの設置を考慮して建築された新築物件であればともかく、考慮せず建築された既築物件であればどうしても耐震性への不安は付きまといます。

デメリット2.移動不可

二つ目のデメリットは移動ができないことです。

太陽光パネルと蓄電池はあくまで住宅設備であり、住宅とセットです。災害により住宅が損壊したり、電気のシステムに異常を来した場合は役に立たないのです。避難のため家を離れたりすればもちろん一緒に持ち出すことはできません。エコで電気代の節約にもなる便利な住宅設備ではありますが、災害備蓄としては大きすぎるデメリットです。

デメリット3.更新スパンが長い

三つ目のデメリットは更新スパンが長いことです。

太陽光パネルと蓄電池は15年以上の寿命が期待されますし、多くの家庭では壊れるまで使い続けることになるはずです。20年、30年と長く使い続けるケースもこれから増えてくるはずです。

その一方で太陽光パネルと蓄電池技術は日進月歩で進化しており、5年も経てばそのころの技術は時代遅れの古い技術に成り下がってしまいます。更新スパンが長く、そう簡単に入れ替えは効きませんから常に新しい優れた技術を取り入れることができない点はデメリットのひとつです。

ポータブル電源の優位性

ここまで紹介した太陽光パネルと蓄電池のメリットとデメリットのまさに正反対にあるのがポータブル電源です。

容量は少なく、コストパフォーマンスも高くありません。しかし移動可能でいつでもどこでも使用できます。容量は1つでは少ないかもしれませんが、ポータブル電源であれば2つでも3つでも買い足すことができます。

また、災害備蓄として考えたときに容量の問題は大した問題ではなかったりするのです。

備蓄として求められるバッテリー容量は「2kWh」

災害備蓄として電気を備蓄する時に求められる容量とはどの程度でしょうか?

ポータブル電源のバッテリー容量と出力は比例関係にあり、例えば1kWh程度の製品では最大出力は1000W程度であることが多いです。多くの家電は使用することができますし、スマートフォンなどを充電するにもまったく困りません。しかし、災害直後というのは必ずしも切羽詰まった状況に置かれるわけでもなく、少しでも快適に過ごすことが重要だったりします。

例えば真夏にエアコンを使いたいとか、レンジを使いたい、IHヒーターを使いたいといった時には出力が1000Wでは不安があります。そのため災害備蓄としてのポータブル電源に求められる目安は容量にして2kWh程度、出力2000W程度であると考えます。

これだけの容量と出力があれば、例えば真夏にエアコンを24度設定で10時間以上動かすことが可能です。更にソーラーパネルを接続すれば晴天が続けば二日程度エアコンを駆動させ続けることも可能です。複数台体制で入れ替えながら使用すれば電気の供給が止まっていてもエアコンを使い続けることさえ可能なのです。

また、過去の大震災として東日本大震災を例にとれば、電気の供給自体は震災発生後数日で復旧しています。家が倒壊したり二次災害に巻き込まれない限りは、意外と電気の備蓄のハードルは低いことがわかります。

ローリングストックによる複数台運用と技術の更新

非常食の備蓄においてはローリングストックという考え方があります。

これは電気の備蓄であるポータブル電源にも当てはめて考えることができます。非常食の消費期限にあたるポータブル電源の寿命は、現在の主流であるリン酸鉄リチウムイオンバッテリーの場合「充放電3000回程度」です。日々の技術進化によりこの寿命はより長く進化し続けています。

「充放電3000回」というのはバッテリーを使い切って再度100%まで充電するサイクルと3000回繰り返すことです。毎日1度使い切って満充電する使い方であれば3000日ほどの寿命と考えることができます。また3000回繰り返した後に突然故障するわけではなく、3000回繰り返した後の最大容量が新品時の80%程度になる目安であり、その程度であればまだまだ使い続けられることは想像に難くないはずです。

そのため、例えば非常食と同じように5年に1台ポータブル電源を買い足して、劣化したバッテリーがあればメーカーに回収してもらう運用を続けることで、複数台の備蓄ができるうえその時最新の技術を搭載したポータブル電源が手に入ります。2kWh程度のポータブル電源と200W~400W程度のソーラーパネルが2台あれば、それほど広い部屋でなければエアコンを駆動させ続けることも可能です。

ポータブル電源の選び方

ここまでポータブル電源が備蓄として優秀であることを紹介してきましたが、具体的にどの製品を選ぶと良いのでしょうか?

先ほど備蓄としてのポータブル電源の目安を「2kWh」程度の容量と紹介しましたが、この程度のバッテリー容量があって、有名メーカーであるJackeryやEcoFlow、Anker社製であればどの製品でも構いません。持ちやすさや収納時の嵩張らなさ、価格などから選択すれば良いでしょう。

有名メーカーであれば5年~10年ほどの確かなサポートが得られるうえ、古くなった製品は無償で回収してくれます。またポータブル電源はセール対象になることも多く、定価の3割引程度で購入することができる機会が多いです。その時セール対象になっている製品を選ぶのも良い選択肢です。

例えばJackery社製のポータブル電源であれば以下の製品であれば2kWh程度の容量を持ち、200Wのソーラーパネルがセットになっているねらい目の製品です。

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