交差点や右左折の直前になってウィンカーを点ける車。
交差点での信号待ちではウィンカーを点けず、信号が青になってからウィンカーを点ける車。
こんな車をよく見かけますよね。
これって違反なんでしょうか?
これって違反?シリーズでは交通法規=道路交通法を主体にしていますので、道路交通法の観点で見ていきましょう。その他の刑法に触れるケースなどもありますが、このシリーズ内では道路交通法のみに着目しています。
これって違反?シリーズでは、道路上でよく見かける「これってどうなの?」というちょっとお行儀が悪い運転マナーについて道路交通法の観点から分析しています。
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交通法規における該当項目
具体的な灯火や合図の使用タイミングについて道路交通法では規定がありません。
そのため道路交通法施行令において具体的な距離や秒数を規定しています。
運転免許を取得する際に勉強した教本などに書かれている内容は、この道路交通法施行令のなかに記載があることが多いです。
施行令第二十一条
交差点直前でウィンカーを出す車が該当しそうな項目は道路交通法施行令第二十一条です。
条文は長くなるため後で記載しますが、要約すると以下の通りです。
右左折時は30メートル手前に達した時点でウィンカーを点灯する
つまり、直前でウィンカーを点灯する行為は故意であろうとなかろうとも違反です。
また、交差点で赤信号で停止して、青信号になってからウィンカーを点灯する行為も違反です。
ただし、交差点より30メートル以上手前にいる場合にはその限りではありません。
右左折時のウィンカーに関しては30メートルという距離が絶対です。
繰り返しになりますが、道路交通法においては故意や過失による扱いの差は示されていません。
道路交通法施行令第二十一条の条文は以下の通りです。
第二十一条 法第五十三条第一項に規定する合図を行う時期及び合図の方法は、次の表に掲げるとおりとする。
合図を行う場合 合図を行う時期 合図の方法 左折するとき。 その行為をしようとする地点(交差点においてその行為をする場合にあつては、当該交差点の手前の側端)から三十メートル手前の地点に達したとき。 左腕を車体の左側の外に出して水平に伸ばし、若しくは右腕を車体の右側の外に出して肘を垂直に上に曲げること、又は左側の方向指示器を操作すること。 同一方向に進行しながら進路を左方に変えるとき。 その行為をしようとする時の三秒前のとき。 右折し、又は転回するとき。 その行為をしようとする地点(交差点において右折する場合にあつては、当該交差点の手前の側端)から三十メートル手前の地点に達したとき。 右腕を車体の右側の外に出して水平に伸ばし、若しくは左腕を車体の左側の外に出して肘を垂直に上に曲げること、又は右側の方向指示器を操作すること。 同一方向に進行しながら進路を右方に変えるとき。 その行為をしようとする時の三秒前のとき。 徐行し、又は停止するとき。 その行為をしようとするとき。 腕を車体の外に出して斜め下に伸ばすこと、又は車両の保安基準に関する規定若しくはトロリーバスの保安基準に関する規定により設けられる制動灯をつけること。 後退するとき。 その行為をしようとするとき。 腕を車体の外に出して斜め下に伸ばし、かつ、手のひらを後ろに向けてその腕を前後に動かすこと、又は車両の保安基準に関する規定に定める後退灯を備える自動車にあつてはその後退灯を、トロリーバスにあつてはトロリーバスの保安基準に関する規定により設けられる後退灯を、それぞれつけること。
【参考】第五十三条
参考までに道路交通法における合図に関する記述を抜粋します。
条文は以下の通りです。
第五十三条 車両(自転車以外の軽車両を除く。次項及び第四項において同じ。)の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。
2 車両の運転者は、環状交差点においては、前項の規定にかかわらず、当該環状交差点を出るとき、又は当該環状交差点において徐行し、停止し、若しくは後退するときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。
3 前二項の合図を行う時期及び合図の方法について必要な事項は、政令で定める。
4 車両の運転者は、第一項又は第二項に規定する行為を終わつたときは、当該合図をやめなければならないものとし、また、これらの規定に規定する合図に係る行為をしないのにかかわらず、当該合図をしてはならない。
わかりやすく解説すると、ウィンカーや灯火類を適切に点灯させて周りに知らせなければいけないということです。
もしブレーキランプが切れていたり、ウィンカーが切れている場合には適切に合図を送ることができませんからこの第五十三条に違反することになります。
道路交通法に違反しない運転
交差点や右左折直前でウィンカーを出す車は例外なく違反となります。
ついうっかり右左折する場所を見過ごして、直前になって気づいた場合は行き過ぎる必要があるということです。
罰則について
交差点直前でウィンカーを出す車は、ここまで解説した通り施行令第二十一条および第五十三条に違反している可能性があります。
これらの違反行為に適用される罰則は以下の通りです。
合図不履行
特に合図を全く出さなかった場合に適用される違反を「合図不履行」と呼びます。
灯火類が故障している場合には、意図せずとも「合図不履行」に該当してしまう場合があります。
点数は1点で、普通車や二輪車であれば6,000円の罰金となります。
合図制限違反
合図不履行と似ていますが、合図を適切にしなかった場合に該当するのがこの「合図制限違反」です。
例えば交差点直前でウィンカーを出す場合はこれに当たります。
点数は1点で、普通車や二輪車であれば6,000円の罰金となります。
合図不履行と全く同じ点数・罰金が科されますので注意が必要です。
違反点数について
交差点直前でウィンカーを出す車が与えられる罰則としては最大でも1点になると思われます。
過去に運転免許の停止処分を受けたことがない方であればあと5点で30日の免許停止となります。
もし過去3年間で一度でも免許停止処分を受けていれば、あと3点で60日の免許停止となります。
気軽に違反しがちな項目とはいえ、しっかりと取り締まられれば軽くない違反点数が付与されることになります。
違反車両を見かけた場合
残念ながら道路交通法の取り締まりは取り締まり中の警察官が現地で直接確認しない限り罰則を与えることができません。
しかし、警察に情報提供することでパトロールや取り締まりが強化されたり、該当車両や運転者に前歴がある場合にはより効果的な対応を取ってもらえる場合があります。
特に整備不良に関しては通報窓口を設けるなど積極的な取り締まりが行われています。
更に危険度の高い車両であればその場で通報した場合には即出動となるケースもあります。
道路交通全体をより良くしていくためにも面倒くさがらずに警察に情報提供することを心がけてください。
警察への通報手順や流れを以下の記事で解説しています。
以下の記事では煽り運転の被害に遭ったケースを解説していますが、通報自体の流れは同じです。
また、以下の記事では危険運転車両を第三者として見かけて実際に通報した時の体験談をまとめています。
さいごに
危険な運転の被害者になった場合の通報の流れはこちらの記事で紹介しています。また、危険運転車両を見かけた場合の第三者としての通報した体験記がこちらです。
被害になったときの証拠として、そして心理的な安心感のためにもドライブレコーダーの装着をおすすめします。
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