窓を塞ぐとカビが生える原因と対策 いらない窓を塞ぐ断熱内窓DIYの弊害とは?

DIY

「窓」は住宅の断熱性や気密性を損ねる大きな要因です。

そのため内窓を設置したり複層ガラスや樹脂サッシに交換するリフォームが有効です。窓を設けないのが一番有効な対策ですが、居室には日照を確保するための窓を一定の面積以上設けることが法律で定められており窓を減らすことはできません。1

内窓やサッシの交換は自治体の補助金が使用できることがありますが決して安いリフォームではありません。そのため窓を塞いだり内窓をDIYで作成できれば大幅にコストを抑えることができるため「内窓DIY」は昨今注目される機会の多いDIYのひとつです。

窓を塞ぐと結露が起きてカビが生える?

内窓を自作したり窓を板や断熱材を使って塞ぐと以下のような構造になります。

内窓には断熱性の高い複層ガラスや樹脂サッシが使用されます。DIYでは中空ポリカや樹脂ガラスを木材や樹脂製のレールに取り付けて使用することが多いです。これまた一般的なアルミサッシより断熱性が高いです。2

DIYで窓を完全に塞ぐ場合にはスタイロフォームやグラスウールなどの断熱材と合板や石膏ボードといった板材を併用することが多いです。

いずれの方法でも既存のサッシと窓を塞ぐあいだに空間が生まれ、ここに結露を原因とするカビが発生するリスクがあります。

結露とカビが生える原因は?

カビが生える原因は言わずと知れた「結露」です。結露は 室内の暖かい空気中の水分屋外の冷たい空気に冷やされた窓ガラスやサッシ に触れることで水滴に変わる現象です。つまり屋内外ともに寒い場合や通気性が良い場合には発生しません。

以下の図は一般的なサッシの構造です。室内の暖かい空気がよく冷えたサッシに触れることで結露が発生します。室内外の温度差大きく、下図の赤い線で示したサッシの室内側の表面が冷えれば冷えるほど結露が発生しやすくなります。

とはいえ、室内側の換気や空気の循環がしっかりとできている場合や室内空間が十分に広い場合、さらに木や漆喰といった調湿作用のある内装材を多用している場合は多少の結露が発生してもすぐに乾燥したり、そもそも結露が発生しづらくなります。

それでは窓を塞いだり内窓を設けるとどうなるでしょう?

窓を塞ぐと結露が発生する可能性のある個所が2か所に増えます。

は内窓の室内側の表面が冷たくなると結露が発生します。

は既存のサッシの表面が冷たくなると結露が発生しますが、内窓と既存のサッシのあいだの空間が暖かく水分を含んでいる場合や通気性が低い場合 に限ります。

① 内窓(室内側)の結露

内窓の室内側は暖かく屋外側は既存のアルミサッシなどで屋外と隔たれた空間です。内窓や窓を塞ぐ材料には断熱性の高い素材が使用されますから、内窓の室内側の表面が極端に冷たくなることは少なく結露の心配はほとんどありません。また、内窓と既存のサッシのあいだの空間は寒いとはいえ一応サッシで隔たれているため屋外ほど冷えることはありません。

結露が発生するとすれば内窓の断熱性が極端に低い場合や室内が極端に暖かく湿度が高い場合が考えられます。

② 既存のサッシ(室内側)の結露

既存のサッシの室内側は屋外の冷たい空気の影響でよく冷えます。

しかし、内窓や窓を塞ぐ素材には断熱性の高いものが使用されるため既存のサッシと内窓のあいだの空間は室内側の暖かい空気の影響を受けて暖まらないため結露が発生しません。というのは理想論で、実際には薄い樹脂ガラスや中空ポリカ、断熱性の低い内窓だけでは室内の暖かい空気が伝わり結露が起こることがあります。内窓とサッシのあいだは通気性も乏しいため水分もいつまでもとどまり続けてしまい、ここで結露が起こるとカビに直結します。

結露が発生する原因は①と同様に内窓の断熱性が低いことです。あるいは断熱材に隙間があると結露の原因になります。

結露やカビ対策は断熱性と気密性を高めること

ここまで説明したように結露が発生する原因は 内窓の断熱性が不足していること です。また、いくら断熱性が十分でも 内窓の取り付けに隙間 があれば冷気や水分が入り込み結露を生じさせます。つまり断熱性の高い素材で隙間なく取り付けさえすれば結露やカビの心配はいらないということです。

中空ポリカや樹脂ガラス、スタイロフォームなどの一般的に内窓や窓を塞ぐために使用される素材であれば断熱性が不足することはまずありません。しかし、特別寒冷な地域や室内外の温度差が極端に大きい場合などは不足する可能性があります。

隙間は内窓自体の構造や取り付けに最新の注意を払い、隙間があればコーキングや気密テープなどを活用すると良いでしょう。なお、一般的なアルミサッシは意外と隙間が多いため窓の外側をぐるりと一周気密テープで塞ぐだけで大きな違いがあります。窓の開閉ができなくなるため開閉が不要な窓に適しています。

窓を塞ぐ場合には空気を隔てる二層構造を意識する

内窓であっても窓を塞ぐ場合であっても断熱材の性能を過信してはいけません。断熱材は完全に熱を絶つものではなく、少しずつ熱は伝わってしまうものです。例えば窓を合板(ベニヤ板など)で塞いで中にグラスウールなどの断熱材を詰めると下図のようになります。

断熱材のなかで暖かい空気と冷たい空気が触れ合うと結露が発生してしまいます。当然断熱材に隙間があればそこで結露が発生することが容易に想像できます。これを防ぐには下図のようにサッシと断熱材のあいだに気密性が確保できる層をもう一層追加する対策が有効です。

ただし、現実問題として断熱材ごしに結露が発生する前に屋内外の温度差がなくなることが多いです。既存のサッシの断熱性や気密性、温暖な地域か寒冷な地域かなど様々な条件に左右されますので内窓DIYや窓を塞ぐDIYをした後はしばらく経過観察をしてみると良いでしょう。

特にDIYで窓を塞ぐ場合には凹凸のある窓に対して隙間なく断熱材を敷き詰めるのはなかなか難しいものです。サッシから侵入する冷気や水分を遮断する効果や断熱性をプラスする効果だけでなく、断熱材を隙間なく敷き詰めるためにも一度平らな板で窓を塞ぎ、その上に断熱材を敷き詰める対策が有効です。

つまり、家具で窓を塞ぐとカビの原因になる!

以上の説明からもわかる通り大きな棚などの家具で窓を塞いでしまうとカビが生える可能性が激増します。塞ぐならしっかりと塞ぎましょう。

  1. とはいえ、実際には特に木造の一戸建てでは窓の面積は多めに設計されていることが多く塞いでも良い窓も少なくありません。また居室以外は窓が完全になくても良い場合もあります。 ↩︎
  2. たとえ断熱性が低くても1枚壁ができるだけで確実に熱や冷気を遮ることができます。 ↩︎
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