柑橘類の育て方 肥料と与え方・時期について レモンやみかんの柑橘類を育てる

ガーデニング

美味しい柑橘類の果実を収穫するために肥料は欠かせない存在です。この記事ではどのような肥料を、どのような方法で、いつ与えれば良いのかを解説していきます。

▼柑橘類の育て方全般について、季節ごとに作業項目をまとめた記事はこちら。

柑橘類の成長サイクルからわかる肥料の必要時期

柑橘類の果樹は肥料をたくさん必要とします。

肥料を与えるタイミングには解説している方によってばらつきがありますが、一貫して言えることが柑橘類の成長サイクルに合わせた肥料を与えれば良いということです。柑橘類の果樹は冬のあいだ水や栄養の吸収を抑えて寒さを耐えしのぎます。

そして春になると成長をはじめ夏から秋にかけて成長を続けます。この春から秋の長い期間を通して枝葉を伸ばし、花を咲かせて実を実らせます。そのためこの期間に肥料を絶やさないことが重要です。

この記事では一般的な肥料の与え方を紹介していますが、春から秋にかけて肥料を絶やさないことが重要ですから、毎週液肥を撒いても良いですし、少量の肥料を頻繁に与えても良いです。とにかく肥料を絶やさなければ良いのでこだわりを持って独自の手法で肥料を与えるのも家庭の園芸の楽しみ方のひとつかもしれません。(ただし、肥料の与えすぎには注意が必要)

肥料の必要時期の考え方はとても簡単です。

  • 春からの成長のために与える肥料(春先の肥料)
  • 春から秋の成長期に肥料を絶やさないための肥料(春~秋の肥料)
  • 収穫後の栄養不足を補う秋の終わりに与える肥料(晩秋の肥料)

ポイントはこの3点です。

春先の肥料(1~3月)

春先あるいは冬の終わりの時期の肥料はすべての肥料のなかで最も重要です。

なぜなら冬のあいだ活動を停止していた柑橘類の木が春になると活動を再開し、新しい枝葉となる芽を芽吹かせるためです。このタイミングでしっかりと肥料が効かせないと果樹の成長の第一歩を阻害してしまうことになります。特に春に芽吹く芽は夏や秋の芽に比べてよく実をつけるため重要です。

肥料を与える時期は地域によっても異なりますが、まだ冬の寒さが残る2月ころです。まだ寒さは残るものの時折暖かい日が出てくる時期が頃合いです。梅の花が咲き始める時期を目安にしても良いでしょう。

ここでは緩効性の肥料を与えます。使用する肥料については後ほど詳しく解説します。

春~秋の肥料(3~11月)

柑橘類は春から秋にかけて絶えず成長を続け、花を咲かせ続けます。この間に肥料を絶やさないようにすることが重要です。時期は3~11月としていますが、これまた地域によって異なります。

肥料を与える時期の目安としては以下の通りです。

開始時期:春に小さな芽が芽吹き始めたころ

終了時期:成長や開花が緩やかになり収穫を終えたころ

この間に肥料を絶やさないことが重要なので施肥の方法は人それぞれ自由度が高いです。遅効性の肥料を年に2~3回に分けて与える方法がポピュラーです。春先にたっぷりの肥料を与えましたから、これが切れる夏ごろに追肥する方法が一般的です。また、柑橘類の専用肥料を使う方法も非常に手軽なのでおすすめです。

冬前の肥料(11~12月)

収穫を終えた柑橘類の木に肥料を与えます。

ただし、収穫のタイミングが12月以降になる場合には、収穫を終えてからでは遅いです。おおよそ収穫できる実が成長して黄色く色づき始めたころに与えてください。時期は地域によって差がありますが、収穫を終えて開花や木の成長が緩やかになり始めたら頃合いです。完全に寒くなって冬になると遅いので注意してください。

収穫のなかった年やほとんど実が実らなかった年にはこの肥料は不要です。

こちらは即効性の肥料を与えます。この肥料を活動が停止する冬に残さないようにしましょう。肥料の与えるタイミングや量に自信がなければこの肥料は省略しても構いません。

柑橘系果樹用の肥料を使うのがベスト

次の項目で必要となる肥料の成分量を細かく解説していますが、あまり深く考えるよりは柑橘系果樹用にメーカーがベストな成分を配合している専用肥料を使うことをオススメします。

肥料の与え方や時期はすべてパッケージ裏に記載があり、大粒のタブレット状で扱いやすく価格も安いです。

また、晩秋の肥料は即効性の肥料を使用します。私は「住友化学園芸 ベジフル液肥」を使用しています。

肥料の与えるタイミングと与え方

肥料の与え方や与えるタイミングは、基本的に肥料のパッケージにある通りで構いませんが、私のオススメの肥料の与え方を紹介します。

使用するのは先ほど紹介したハイポネックス 錠剤肥料シリーズ かんきつ・果樹用 30錠です。

肥料を切らさず、肥料を与えすぎて発生する「肥料やけ」を抑える絶妙な与え方だと考えています。

春先の肥料

寒さの残る冬の終わり、春の始めころに与えます。柑橘類から新しい芽が出る前が望ましいです。

ハイポネックス 錠剤肥料シリーズ かんきつ・果樹用 30錠を規定量与えます。

これで、おおよそ後述する正確な肥料の分量と同じくらいの成分を与えることができます。

春~秋の肥料(5月・7月・9月)

先ほど3~11月と解説した春~秋の肥料です。

1度目は5月ころ、春らしくなって桜が散ったころに与えます。地域によって時期は前後しますが、桜が散ったころが頃合いです。柑橘類の花が咲き乱れ始める時期です。

2度目は7月ころ、梅雨が明けたころが頃合いです。柑橘類は春・夏・秋と3回に分けて新たな芽が発生しますが、夏の芽が発生する時期です。柑橘類の実が大きくなり始める時期です。

3度目は9月ころ、暑さもピークを越えたころが頃合いです。柑橘類の果実は大きくなってきていますが、収穫まではまだ時間がかかります。秋の芽が発生する時期です。

ハイポネックス 錠剤肥料シリーズ かんきつ・果樹用 30錠を規定量の3分の1与えます。

冬前の肥料

柑橘類の収穫後、本格的な冬が来る前に与えます。

住友化学園芸 ベジフル液肥」を規定量である1000倍希釈にして1週間に1回与えます。

最大で4週間かけて4回与えます。

出来れば寒さがきつくなる12月半ばより前に肥料を与え切りたいので、11月半ばころから肥料を与え始めると良いです。

収穫が終わってなくても、収穫できる見込みの実が十分に育っていれば肥料を与え始めて構いません。

もし4回与える前に寒さがきつくなってきたら、肥料を与えるのはやめてください。

正確な肥料の分量と計算

肥料の分量は肥料のパッケージにあるものに従っても構いませんが、基準となる肥料の量を紹介します。

  チッソリン酸カリウム
春先の肥料8号3 g1.8 g1.2 g
10号4.5 g2.7 g1.8 g
15号9 g5.4 g3.6 g
0.5m10 g6 g4 g
1m15 g9 g6 g
2m50 g30 g20 g
4m250 g150 g100 g
春~秋の肥料8号1.8 g1.8 g1.8 g
10号2.7 g2.7 g2.7 g
15号5.4 g5.4 g5.4 g
0.5m6 g6 g6 g
1m9 g9 g9 g
2m30 g30 g30 g
4m150 g150 g150 g
晩秋の肥料8号1.2 g1.2 g1.2 g
10号1.8 g1.8 g1.8 g
15号3.6 g3.6 g3.6 g
0.5m4 g4 g4 g
1m6 g6 g6 g
2m20 g20 g20 g
4m100 g100 g100 g

号数表示は鉢植え、m表示は庭植えの樹冠直径を表しています。

鉢の号数は購入時に表示があると思いますが、わからない場合には直径を測ってみるとおおよその号数がわかります。一般的には10号といえば内径が10寸、つまり内径30cmの鉢のことを指します。

庭植えの場合の樹冠直径とは、枝葉まで含めた木の直径を表しています。これらの分量は目安です。肥料によって成分の比率も異なるため完全に一致させることは難しいです。おおよそ近しくなっていれば問題ありません。

肥料の計算方法

肥料には、必ずチッソ(N)、リン酸(P)、カリウム(K)の含有量が表示されています。

例えば、一般的な化成肥料である以下の商品であれば8-8-8と記載があります。

サンアンドホープ 化成肥料 10kg

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このように、肥料には必ずこの表示があります。

8-8-8の意味は、肥料の中にチッソ(N)が8%、リン酸(P)が8%、カリウム(K)が8%含まれているという意味です。こちらの商品は5kg入りの肥料ですから、チッソ・リン酸・カリウムがそれぞれ 8% = 400g ずつ含まれているというわけです。

例えば、春先の肥料として10号の鉢植え柑橘類に与えるチッソは先ほどの表によれば4.5gが目安です。

サンアンドホープ 有機入り化成オール 8号を5kg使うとチッソが400gですから、55g与えればチッソが約4.5g与えられるというわけです。お好きな肥料を使う場合には先ほどの表を参考にしてみてください。なお、先ほど私がオススメした「ハイポネックス 錠剤肥料シリーズ かんきつ・果樹用」は8-10-9となっています。

チッソ(N)、リン酸(P)、カリウム(K)ってなに?

チッソ、リン酸、カリウムとは、肥料の成分のなかで特に効果が大きいと言われる3つの栄養素です。

チッソは、植物を大きく成長させるために必要な成分です。

特に葉の成長に重要ですから、葉が命の柑橘類にとっては非常に重要な成分です。

リン酸は、花を実を実らせる際に必要となる成分です。

カリウムは、根の発育を促す効果があります。

さいごに

柑橘類の肥料について解説しました。

春先に1回、春~秋の成長期には少なめの肥料を絶やさず、収穫後には液体肥料をたっぷり与えるのがポイントです。

▼柑橘類の育て方全般について、季節ごとに作業項目をまとめた記事はこちら。

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