美味しい柑橘類を収穫するために、夏(7月~9月)にやらなければいけない作業をまとめています。
▼他の季節の作業内容のまとめはこちらのリンクからご覧ください。
夏は柑橘類の成長期
夏になると春に咲いた花が受粉して花弁を落とし、果実の成長が始まります。それと同時に受粉に失敗した花や果実が落ちるジューンドロップの時期を迎えます。夏の間に摘果を済ませて果実の数を適正数に調整することで、果実より瑞々しく美味しくなります。
芽かき
夏になると春に新しく伸びてきた枝葉から芽が芽吹きます。この夏に出てくる芽は成長しても実をあまりつけません。そのため芽が出た時点で指で摘み取ってください。翌年の春前の剪定で切り落としても良いのですが、芽の時点で摘み取った方が木の栄養を無駄に使わず、木を痛める心配もありません。
また、ある程度成長してしまうとどれが夏にでた枝か判別が難しくなるため不要な芽は早めに摘み取っておくことをおすすめします。
ただし、枝葉の数が少ない若木のころは枝葉を充実させるために夏の芽を残しても構いません。剪定や芽欠きの判断は難しいと思われがちですが、基本的には自分の理想の木の形に近づけることと枝葉を密集させ過ぎないという2点さえ守れば大きな問題はありません。
落花・落果
梅雨に入る前の6月ころになると受粉に失敗した果実や栄養の行きわたらなかった花がポロポロと落ち始めます。これをジューンドロップと呼び、正常な症状です。栄養や水やり、剪定などこれまでの管理に問題がない限りは必要十分な数の花は残るので、病気や水不足・肥料不足を疑って早まった対策を取らないようにしてください。
こまめな水やり
夏は柑橘類の成長が盛んですぐに土が乾燥してしまいます。
せっかくの成長期に水切れを起こすと順調に進んでいた成長がピタリと止まってしまいます。植物全般に言えることですが水のやりすぎはいけませんが、成長期の水切れにも注意する必要があります。株本にわらやウッドチップなどを敷き詰めるマルチングも暑さによる乾燥には有効なので検討してみると良いでしょう。
雨も多い時期なので土の表面の状態を見ながら水やりをしますが、鉢植えでは2日に1回が目安です。ただし、梅雨が明けて気温も暑くなる8月は毎日水やりをしてください。
夏の肥料やり
肥料の時期
春から秋は柑橘類が成長を続ける期間です。この期間中肥料を切らさないために、5月・7月・9月の3回に分けて肥料を与えます。時期や回数に決まりはないのですが、春から秋にかけて肥料の効果を途切れさせないことが重要です。柑橘類の専用肥料であればパッケージの説明に記載されている通りに施肥をすれば適切に効果が持続するのでおすすめです。
専用肥料にこだわらない場合には一般的な8:8:8の緩効性の化成肥料を3回に分けて与える方法が一般的です。肥料を切らさなければ良いので液体肥料を毎週与えても構いませんし、化成肥料を小分けにして毎月与えても構いません。
肥料の必要性
柑橘類は春から秋にかけて成長を続け花を咲かせ実をつけます。
この特性から美味しい柑橘類をたくさん収穫するには春から秋にかけて肥料の効果を持続させ続けることが重要です。木の成長にも栄養が必要ですし、これに加えて実をつけて大きくするのにも栄養が必要です。
肥料のやり方
肥料は規定量の3分の1程度を与えます。
詳しくは以下の記事で解説しています。
摘果
果実が多すぎる場合や生育の悪い果実がある場合には梅雨明け後に摘み取って間引きます。これにより残りの果実がより美味しく実ります。
基準となるのは葉の枚数で、葉の枚数20~30枚あたり果実を1つの比率に調整します。また、害虫や傷などが入った果実があれば早めに摘み取ります。摘果した真緑色の果実も、柑橘類特有の香りや酸味があるため加工して使用することができます。なお、摘果の際にはくれぐれも剪定ばさみなどきちんとした道具を使用してください。
柑橘類の実はしっかりとついているため、無理にもぎ取ろうとすると木を痛める可能性があります。
害虫対策
夏は1年のなかでも特に多く害虫がつく季節です。
また、梅雨の雨のせいで剪定が甘い込み入った枝葉の中では、病気を発症することもあります。鉢植えの場合には、雨を直接浴びない軒下などに鉢を移してください。病気は症状ごとに対策を施し、害虫も見つけ次第水で洗い流したり、手で除去するなどします。
私は春以降になると、定期的にこちらの殺虫剤を散布しています。
アブラムシに対しては1カ月程度持続する効果があり、病原菌を防除する効果もあります。その他にも柑橘類につきがちなカイガラムシ、ケムシ、ハムシ、アザミウマなどたくさんの虫や病気に効果が見込めます。
袋掛け
摘果を済ませて、今年収穫できる見込みの果実を選び終えたら果実袋で保護すると良いでしょう。
果実は傷が入るとそこからカビが生えてしまうほか、収穫前に虫がつくこともあります。
少し手間はかかりますが、袋をかけてやることでこうした病気や害虫を気にせず綺麗な実を収穫することができます。