BMWでよくあるトラブルである「センサー故障」。
しかし、一言にセンサー故障と言っても、その緊急度や優先度はまちまちです。カムシャフトセンサー、O2センサー、エアマスセンサー、オイルレベルセンサー・・・いろいろなセンサーがあります。すぐに直すべきセンサー故障もあれば、後回しにして良いセンサー故障もあります。長らくBMWに乗っていれば、たまに警告灯が点いたり、ちょっとした異常は何とも思わないでしょう。しかし、BMWに乗り始めて間もないと不安が募ったり、頻繁に修理に出すことになってしまい、車を手放すことにまでつながりかねませんね。
もちろん、センサーが劣化をしているということは、良い状態ではありません。また、大抵は悪化の一途を辿りますからいずれは修理が必要になります。それが1年後なのか、5年後なのかは症状と運次第となります。この先10年乗るのであれば修理への備えが必要ですし、あと3年なら無視しても良いかもしれません。
この記事のオイル漏れ版ともいえる、オイル漏れの緊急度を紹介した記事もあわせて御覧ください。
具体的に説明していきます。
センサーの種類と故障の症状
クルーズコントロールで使われる車間距離を測るセンサーもあれば、パーキングセンサーに使われる超音波センサー、外気温センサーにパワーステアリングオイル経路やインジェクター付近にある圧を測るセンサーなど、多種多様なセンサーがあるのですが、ここではよく故障事例としてあがってくる、主要なセンサーを取り上げています。
O2センサー(ラムダセンサー、A/Fセンサー)
排気ガス中の酸素量を検知しているセンサーです。
車によって差がありますが、2個~4個くらい備わっています。
O2センサーはレアメタルを使っているため高額です。また、過酷な環境下で動作しているため、寿命は良くても10万kmほどでしょう。段々と劣化し、知らぬ間に壊れています。壊れても、車は燃料をたくさん使って動き続けます。
車に興味がない方であれば、異常に気が付かないこともあるかもしれません。
故障の症状の例
- 燃費の悪化
- アイドリング不調
- マフラーのススが多くなる
- プラグが汚れる
- エンジン警告灯が点灯
- 診断機で空燃比に関するエラーが出る
カムシャフトポジションセンサー
エンジンのカムシャフトの位置を検知しているセンサーです。
大体2000年くらい以降のモデルから、カムシャフトが2本備わっているエンジンが多くなり、その場合にはこのセンサーが2つあります。エンジンの点火タイミングを正確に知るために必要なセンサーですので、故障時の影響は大きいです。
故障で不調になった際には、思い切ってセンサーの配線を抜くことで一時しのぎできることもあります。
故障の症状の例
- 加速不良
- エンジンが止まる
- アイドリング不調
- エンジン警告灯が点灯
- 診断機でセンサーに関するエラーが出る
クランクシャフトポジションセンサー
エンジンのクランクシャフトの位置を検知しているセンサーです。
カムシャフトポジションセンサー同様、重要なセンサーです。カムシャフトポジションセンサーほど故障率は高くありませんが、交換しづらい場所にあることが多く、工賃が高くなりがちです。
故障の症状の例
- エンジンが止まる
- エンジンがかかりづらい
- アイドリング不調
- エンジン警告灯が点灯
- 診断機でセンサーに関するエラーが出る
エキセントリックシャフトセンサー
エンジンのバルブ開閉状況を検知しているセンサーです。
カムシャフトポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー同様、重要なセンサーです。クランクシャフトポジションセンサー以上に故障率は低いと思います。
故障の症状の例
- エンジンが止まる
- エンジンの吹けが悪い
- アイドリング不調
- エンジン警告灯が点灯
- 診断機でセンサーに関するエラーが出る
オイルレベルセンサー
オイルパンに溜まったオイルの量を検知しているセンサーです。
油温や油圧に関するセンサーの故障はあまり聞きませんが、このセンサーの故障はよく聞きます。
故障の症状の例
- オイルが減っても警告灯が点灯しない
- オイルが十分なのに警告灯が点灯する
ノックセンサー
エンジン内で起きるノッキングを検知しているセンサーです。
故障頻度はそれほど高くなく、壊れても影響はあまり大きくありません。
故障の症状の例
- 出力低下
- ノッキングの発生
ABSセンサー
タイヤの回転数を検知しているセンサーです。
ABSや横滑り防止装置周辺の部品は高額です。そのため、ABS関係の警告灯が点灯するとひやっとさせられますが、このセンサーの異常であることが多いです。
センサー自体は安価です。
また、故障しても警告灯は点灯しても、体感できる異常がないことが多いです。
故障の症状の例
- 警告灯が点灯する
- 速度計が動かない
エアフローセンサー
エンジンに吸い込む空気の量を検知しているセンサーです。
非常に繊細で、国産車であってもよく故障事例を聞くセンサーです。価格は30,000円~40,000円ほどとやや高額ですが、基本的にそうそう壊れるものではありませんから、一度交換してしまえば安心です。
エアエレメントの汚損や、空気の流路の破損(ホースの破損)で同様の症状が出ることがありますので、診断は慎重に行う必要があります。
故障の症状の例
- アイドリング不調
- エンジンが止まる
- エンジンがかかりにくい
故障の種類
故障に種類も何もないように思われますが、いくつかの種類に分類することができます。センサーが故障すると、基本的にはなんらかの警告灯が点灯します。
誤作動
誤作動と書くと誤解がうまれそうですが、たまに異常な数値が出たりして、故障していないのに警告灯が点灯することがあります。基本的に故障や故障の前触れということはなく、純粋な誤作動です。
再現性の有無により、何度も再発するのであれば「壊れかけ」、そうでなければ「誤作動」と判断することが出来ます。
壊れかけ
センサー類の故障ではよくあるのですが、たまに異常がでます。
実際に症状が出る場合と、警告灯が点灯する場合があります。
前者であれば、「たまにアイドリングが不安定になる」「たまにエンジンがかかりにく」といった症状です。
後者であれば、「たまに症状はないけど警告灯が点灯する」といった状態です。
ただし、完全に故障していてもたまにしか症状や警告灯が点灯しない可能性もありますので、「たまに」だからといって「エンジンが止まる」「エンジンがかからない」などの走行に影響がある症状が出る場合には、故障と判断して良いでしょう。
潜在的な故障
症状や体感できる異常はないものの、警告灯が点灯したり、診断機にかけるとエラーが残っているケースです。センサーが故障しても、一切症状がでない(体感できない)というのはあり得る話です。
BMWに強いショップであれば、点検時にまず間違いなく診断機による診断を行いますから、そこで判明することになります。
故障
完全に故障しているケースです。
「センサーの種類と故障の症状」であげたような症状が日常的に発生しているか、警告灯が常に点灯している状態です。
センサー故障や警告灯はすぐに修理が必要?
センサー故障による影響・症状は様々です。
エンジンの停止など、危険が生じるケースもありますが、逆に燃費の悪化や出力低下といった、危険までは生じないケースがあります。完全に修理をしないのはあまりおすすめできないのですが、それもオーナー次第です。
センサーの機能をよく理解し、先延ばしできる故障は先延ばしし、別の修理をあわせて修理をすることで、急な出費を避けたり、工賃を節約することが可能です。
センサー故障の切り分け
センサー故障後の対応を検討する前に、本当にそのセンサーが故障しているのかをきちんと判断しなければなりません。大抵、センサーが故障すると多種多様な症状が、不定期に発生して、原因の特定が難しいことがあります。
また、警告灯が点灯しても、それが直接センサーの故障を指し示してくれることはありませんし、診断機の診断結果にしても、センサーと直接結びつかないようなエラーを出すことが多々あります。
最終的には、センサーを正常に動く部品と付け替えたり、センサー自体を外したりして問題の切り分けを行う必要があります。その結果、本当にセンサーが故障していることが判明した際には、以降の記事を参考に対応をご検討ください。
先延ばしできる故障とできない故障
先延ばしできるかどうか、あるいは修理が必要ないかどうかは症状から判断ができます。危険が伴う症状は速やかに修理が必要ですし、そうでなければ先延ばししても構わないでしょう。
O2センサー
O2センサーは、修理を先延ばししても良い代表的な例です。
O2センサーは、燃費の悪化や排気経路の汚れが主たる症状で、危険な状況に発展するリスクは極めて低いです。長く乗られた車ですと、故障に気付かずに乗っている人も多いと思われる故障です。
ノックセンサー
ノックセンサーも同様に急ぐ必要はありません。
症状としては、ノッキングや出力低下が考えられますが、普段の運行には差し支えない異常であることが多いです。こちらも故障に気付かずに乗っている可能性が高い故障です。
ABSセンサー
こちらも急ぐ必要性は低いです。
O2センサーやノックセンサー同様、普段の運行には差し支えない症状であることが多いです。メーターの不調やABSの動作不良は危険につながりますので早い修理が必要です。
ABSがない車だってそこらじゅうを走っている、と直さない人も見たことがありますが。
オイルレベルセンサー
オイルレベルセンサーは、オイルの量がわかるというだけですから、ボンネットを開けてオイルレベルを確認するのであれば交換の必要はありません。
エアフローセンサー
エアフローセンサーの故障は、症状の出方が様々です。
アイドリング不調程度であれば、修理を急ぐ必要はありませんが、エンジンが止まったりする場合には、速やかな交換が必要となります。また、一度不調になると悪化していくだけですから、いずれは交換が必要になることを覚悟しましょう。
カムシャフトポジションセンサー
クランクシャフトポジションセンサー
エキセントリックシャフトセンサー
この3つはエンジンの動きに直結しているセンサーで、重要度がとても高いです。
単体の異常であれば、エンジンが止まったり、危険がおよぶところまでの症状はなかなかでません。また、まずは軽度の症状が出始めて、しばらくするとエンジンが止まったりすることもあります。
軽度のうちは急ぐ必要がありませんが、異常が出始めたら早めに修理することをおすすめします。
何かのタイミングでいきなりエンジンが止まる、なんて可能性があるセンサーです。