【バイクの錆対策】実は簡単なサビの除去と予防の方法を紹介

SUZUKI ST250 E type

ガレージやカバーがあっても避けては通れない厄介な「バイクの錆」

私はバイクが錆びやすいこんな環境に住んでおり、錆に悩まされています。

  • 海に近い
  • 海辺をよく走る(バイクで頻繁に釣りに行く)
  • マンションの駐輪所(屋外・屋根有り)
  • カバーは面倒で使っていない

先日、連日の雨で錆が一気に進行し、流石に危機感を感じたため錆の対策を行いました。

その様子と合わせて錆の除去及び対策手順を紹介します。

バイクと錆の状態

まずはじめに、私のバイクは5年落ちのSUZUKI ST250 E typeというバイクです。

走行距離は7000kmで、つい先日まではピカピカでした。

おそらくこの程度の年数と距離の場合、ごく普通のコンディションだったと思います。

つい先日までピカピカだったように記憶しているので、よく観察していなかったことを加味しても、この1~2週間ほどで急激に錆が進行したようです。

これが実際の錆の状況です。

まずはフロントフォークの錆です。

続いてリアのスプリングとショックの錆

この他にもハンドルやホイールなど各部に錆が見られます。

メッキは錆に強いイメージがあり、まさかここまで錆が進行するとは思ってもみませんでした。

急激に錆が進行した理由

今回、完全に油断して錆の進行を許してしまいましたが、錆が急激に進行した理由は以下の通りです。

原因1:メッキの質が悪い

ひとつ目の原因はメッキの質が悪いということです。

不思議なことに後付けした細かなメッキパーツや、ホームセンターで購入した一般的なボルト(亜鉛メッキ)には全く錆がなかったのです。

購入したバイク店にも相談してみましたが、やはりメッキの質が悪いそうです。

このSUZUKI ST250 E typeというバイクは新車でも非常に安価で、同系統のバイクと比べても安かったそうです。

つまりメッキの質が悪いことは容易に想像がつくというわけです。

安いバイクはメッキの質も悪い傾向があるという仕方のない事実です。

原因2:塩

わかりきっている要因ですが、塩の力は想像以上に強いようです。

私が購入した店舗も当然海に近い場所にあり、長らくそこでバイク屋さんを営んでいます。

つまり海に近い場所のバイク事情には詳しいわけです。

そこで話を聞くと、「メッキの質によって多少は変わるが、塩を浴びていればこんなもん」ということがわかりました。

私は過去に、金属にメッキした外装パーツがある車に乗っていたことがあります。

その時は海無し県に住んでいて、車は雨ざらしでしたが錆など少しも気になったことはありませんでした。

つまり、それだけ塩による錆の進行は激しいということです。

海辺では、優れた錆への耐性をもつステンレス等のいわゆる「錆びない金属」であっても防錆塗料を施すのだそうです。

原因3:油膜切れ(直接的な原因)

原因1と原因2はの私の知識不足であり、仕方のないことです。

直接的な原因は油膜切れでした。

鉄は一晩もあれば錆まみれになる金属です。

特に高温・多湿・鉄自体に不純物が多いことなどが錆の進行を早める原因になります。

塩は更にそれを加速させます。

そんななかでバイクを使うのであれば、金属部に常に油膜を形成しておく必要があります。

私がバイクを購入した3カ月前、納車直前にバイク屋さんが油を塗っていてくれました。

しかし、私はその必要性に気づかずに、いつの間にか油が流れて油膜が切れてしまっていたのです。

原因4:カバー

最後のダメ押しがカバーを装着していたことです。

雨の多い時期にカバーを付けるのは当たり前ですが、カバーをつけっぱなしにすると錆を促進してしまいます。

通常、雨が止んで晴れれば湿気や水分も飛んでいきます。

しかし、その間カバーを付けっぱなしにしていると中に湿度や水分が溜まり、錆びを急激に進行させてしまいます。

カバーは使わないか、雨の後はカバーをかけなおしたり、バイクに乗ってやる癖をつける必要があります。

特に雨が断続的に続く梅雨の時期などは、定期的にカバーを外して乾かしてやる必要があります。

激しい雨が続いていたため、良かれと思ってカバーをかけていましたが、逆に悪影響を与えてしまうとは思いませんでした。

錆の除去手順

今回の私のケースでは、錆びは進行しているものの比較的浅い範囲の錆に留まっています。

このような錆にはいろいろな対処方法がありますが、共通して言えるのが「優しく研磨する」ということです。

研磨する、つまり削り落とすということです。

ただし、研磨剤には傷を増やさないために粒度の細かいものを使用します。

粒度の細かい研磨道具さえあればなんでも良いです。

いくつかの実践例を紹介します。

防錆スプレー + 目の細かい金たわし

これは私が実践した方法であり、なおかつバイク屋さんも行っている方法です。

防錆スプレーとは、防錆機能を持ったスプレーです。

防錆機能があれば何でも構いません。

しかし、防錆効果が長く持続する方が良いので私はKURE 6-66を選択しました。

また、金たわしというのは、特に目の細かいこういう商品のことです。
手をこすってもいたくない程度に目が細かいです。スーパーなどで安く手に入ります。

また、防錆スプレーの代替としてシリコンスプレーも有効です。(後述しますが、シリコンスプレーには防錆効果はありません)

私がこの方法を選んだのには理由があります。
防錆スプレーを吹きかけて金たわしで擦って錆を落とし、布で拭き上げれば錆の除去」と「錆の予防」がまとめて行えてしまうのです。
クレンザー + スポンジ・ブラシ

身近な研磨剤として有名なクレンザーも有効です。

クレンザーはスーパーなどで非常に安価に手に入ります。

クレンザーは研磨剤ですので、液体のコンパウンドなどの研磨剤でも代用可能です。

ただし、クレンザーの研磨剤としての粒度はかなり粗い部類に入ります。

一般的な塗装研磨用のコンパウンドやピカールなどでは細かすぎて錆が落とせない可能性があります。

例えば、車やバイクを含めて様々な分野で利用される定番商品であるラビングコンパウンドくらいの粗さでちょうど良いです。

やすり・ワイヤーブラシ

基本的な考え方はまったく変わりませんが、やすりも錆落としに使用することができます。同様に、ワイヤーブラシなども有効です。

ただし、やすり粒度に気を使う必要があります。

粒度とはやすりの粗さのことで、番手で表示されます。

よくやすりに「#600」「#120」などの番号が振ってありますが、これが粒度を表しており、大きければ大きいほど目が細かく、逆に小さいほど目が粗くたくさん削れます。

先ほど紹介したラビングコンパウンドは#1000相当です。

もう少し細かくても良いですから、やすりを使うのであれば#1000~#1500を選ぶと良いでしょう。

もし#1000を使っても落ちない場合には粒度を落とします。

紙やすりでは均一に力をかけられず、施工性が悪いのでスポンジタイプを使うと良いでしょう。

錆の予防

ここまで紹介した方法で錆を除去することができました。

錆を除去した後の金属面は、錆が非常に発生しやすくなっています。

錆の除去と合わせて必ず錆の予防が必要です。

錆を予防する方法は簡単で、常に金属部分を油で包み込んでやれば良いわけです。

油と言っても防錆効果はまちまちで、特に防錆効果を謳う製品はJIS規格で定められた試験を受けてNPから始まる記号が付与されています。

JIS K 2246:2007 さび止め油

JIS規格のさび止め油について

このように書くと選び方が難しく感じるかもしれませんが、既に長年に渡ってバイク乗りやバイク屋さんたちが答えを出してくれています。

錆の問題は昔からありますから、既に定番の商品が決まりきっているわけです。

1つ目はシリコンスプレーです。

そして、2つ目はKURE 6-66です。
どちらも使い勝手も効果も大きく変わりませんから、好みで選ぶと良いでしょう。
また、それぞれ錆対策以外にも使用できますので、その他の用途にマッチするものがあるかどうかも決め手になるかもしれません。
シリコンスプレーの特徴
  • 素材表面に耐熱性にすぐれたシリコーン被膜を形成し、滑りをよくします。
  • 無溶剤タイプなので、金属のほか、ゴム、プラスチック、木、紙などにも使用できます。
  • 潤滑だけでなく、離型、ツヤ出し、防水効果もあります。
  • あらかじめスプレーしておくと、迷惑なシールやチラシが簡単にはがせます。

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安くて色々な用途に使えるが、防錆効果はありません

防水効果があるため結果的にある程度の防錆効果を発揮します。

KURE 6-66の特徴
  • あらゆる船舶の電気・電子部品、船体の金属パーツに防錆・防湿・潤滑性能を発揮します。
  • 水置換性にすぐれているため金属表面などに付着した水分や湿気を強力に除去します。
  • 金属表面に薄く強固な被膜を形成し、腐食やサビの発生を防ぎます。

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防錆に特化しており優れた防錆能力を持っています。

逆に防錆以外の用途は少なく汎用性は低いです。価格もやや高いです。

KUREに聞いてみました

なお、実際にKUREにこの2点のうちどちらが防錆用途に効果を発揮するか質問しました。

回答は以下の通りです。

金属の防錆目的であれば「6-66」をお勧めいたします。

「6-66」は金属表面に強固な被膜を形成し、腐食や錆の発生を防ぎます。

その防錆期間につきましては諸条件によって異なりますが、屋内でのご使用の場合、3ヶ月が目安となります。

また、「シリコンスプレー」は潤滑以外にも防水効果がありますが、防錆効果はありません。

錆の予防手順

防錆スプレーを用意できたら、早速錆の予防をしてみましょう。

手順はとても簡単です。

まずは錆対策をしたい場所の錆や汚れを落とします。

先ほどの方法で錆の除去をしていれば、もう準備は済んでいます。

水洗いが理想的ですが、濡れ拭きでも十分です。

急ぎであればそのまま作業を始めても構いません。

手順1:防錆スプレー(シリコンスプレーもしくは6-66)を吹き付ける

手順2:布で拭き取る

これだけです。

拭き取ったら意味がないと思われるかもしれませんが、防錆スプレーはそう簡単に拭き取れません。

布で吹き上げることで、油が満遍なく塗り込まれ、逆に余分な油が拭き取られます。

余分な油はゴミの付着やべたつきなどの原因になりますから、拭き取りは必ず行いましょう。

なお、スプレーがブレーキディスクやステップなど、滑ると危険な場所に付着しないよう気を付けてください。

日頃のメンテナンス

一度錆の予防をすれば、少なく見ても1か月程度は錆が発生しません。

KURE6-66の防錆効果は強力で、私の場合は3か月程度は効果が持続している印象です。

ただし、潮風を浴びながら走った後は出来るだけ以下のメンテナンスを行うと良いです。

①防錆スプレーを吹き付ける

②布で拭き取る

この方法で、潮や水分、汚れなどを拭き取りつつ、錆の対策をすることができます。

もちろん、洗車をしてからの作業がベストです。

しかし、結局面倒くさくてメンテナンスしなくなっては元も子もありません。

これだけでも十分効果があり、防錆効果を持続させることができます。

もっと錆対策(グリス+カバー)

特に私のようにモロに潮風や海水が舞った霧の中を走る場合には、潮風に当たらない対策が有効です。

そこで、キジマから発売されているフロントフォークブーツを取り付けることにしました。

キジマ(Kijima) フロントフォークブーツ ブラック (全長:182X最大インナー径:35φX最大アウター径:60) SR/グラストラッカー/FTR 206-014

なお、こうしたカバー系の製品は防錆用ではありません。

金属部の錆は空気に触れているだけで進行しますから、気密性のないブーツを装着したところで防錆効果は望めません。ブーツ類に気密性はありませんので防錆効果はないばかりか湿気が逃げづらく錆を余計進行させてしまう場合もあります。

しかし、私のようなモロに塩を被るような環境では十分な効果が望めるだろうと考えたわけです。

更に、ここまで錆の予防として防錆スプレーを紹介しましたが、もっと有効な方法があります。

それは、グリスをべったりと塗布することです。

数年単位で効果が持続します。

ただし、剥き出しの金属パーツにグリスを塗布すると、そこにゴミが付着して非常に汚らしくなります。

そこでカバーの必要性が出てくるわけです。

グリスで高い防錆効果を与えつつ、カバーでゴミと塩の付着を防ぐわけです。

▼これが実際にカバーの取り付け前にべったりとグリスを塗布した様子です。

見えないところで錆が進行しては困るので、グリスは良いものを使いました。

▼フロントフォークブーツを取り付けた様子

なお、取り付けはフロントフォークブーツを縦にカットし、フロントフォークにはめた後に瞬間接着剤で固定しました。

ドライブシャフトブーツみたいに最初から接着式だと楽なんですが、実物を見るとすごくぺらぺらなんで無理なのかもしれません。

余談:錆は見た目が悪いだけ?

最後に、よくバイクに乗るなら錆は放っておいてもあんまり問題ないという話をしようと思います。

今回発生した錆の写真を見てみましょう。

何かに気が付きませんか?

そうです。実際に動く部分には錆が出ていないのです。

どちらもショックを写していますが、ショックが伸び縮みする部分には、伸縮に合わせて常にオイルが供給されるため、日常的にバイクを使っているのであれば錆が発生しません。そして、動かないところに錆が出来ても見た目以上の害はあまりないのです。(日常的に乗っていない場合には、動く部分にも錆が発生し周辺に害を与える可能性があります)

もちろん長期間錆を放置して金属が腐食し破損する可能性もあります。しかし、実際に破損するまでにかかる時間はなかなかのものです。腐食の速度や金属部品にかかる負荷や素材にもよりますが、耐食性が並程度の金属が海水中で腐食する速度が1年あたり0.1mmと言われています。

つまり、強度に関しては錆びたまま数年経った純正部品より、新品のアフターパーツ製品の方が低い、なんてことも十分に考えられるわけです。

もちろん錆を発生させないことは、見た目においても機能面においても重要です。

しかし、スクーターのように金属面が覆い隠されたバイクでは、中をあければ大体酷い錆まみれですから、意外と問題ないのかなぁなんて思ってしまうわけです。

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