【スバル・レガシィアウトバック】買う前に見てほしいアウトバックの安っぽすぎるポイント6選

私の愛車であるスバル・レガシィアウトバックはスバルのフラッグシップといえば聞こえはいいものの高級車でもなければ上質な車でもありません。スバルのラインナップのなかではサイズが大きいために値段が高く、フラッグシップという位置づけになってしまっただけの平凡な車なのです。(実は個性もある)

スバルのディーラーや試乗レビューなどを行うネットメディアの間では快適性や質感といったアウトバックが苦手とする部分を評価したりセールスポイントにあげる不思議な逆転現象が起きています。車に興味のない方ならまだしも、車が好きな方がこうした声を頼りにアウトバックを購入すれば失望は避けられません。

私はこの車を大変気に入っている反面で「ここさえ直してくれれば!」というポイントも少なくありません。特に質感や快適性といったいわゆる「高級感」に関する課題が多いため期待して買うとガッカリすることになります。魅力もたっぷりの車ですから折角ならよく理解した上で購入して長く乗ってほしいと思います。

まずはじめにスバルには高級車づくりのノウハウがないため内外装の安っぽさやデザイン性は低いです。これは割り切る必要があって、その代わりに高品質な車を手頃な値段で手に入れられています。先代モデル(BS型)では安っぽい前時代的なインテリア1をしていたかと思えば、現行モデル(BT型)では今風のインテリアを目指した結果が目も覆いたくなる惨状ですがそこは良いのです。見た目ではなく中身です。この記事の中では中身についてオーナー目線で言及していきます。

1.車内の騒音が大きい

アウトバックはスバルのラインナップのなかではフラッグシップの位置付けですが、高級車というほど高価なわけではありません。例えばプレミアムブランドの代表格でもあるメルセデスベンツやBMWの中核モデルであるEクラスや5シリーズどころかコンパクトなCクラスや3シリーズよりも安価です。ただし、価格は安くとも大人4人が快適に乗ることができるサイズやスバルのその他のラインナップにはないスポーティでないキャラクターから快適性に期待が高まってしまいます。

しかし、快適性を語るうえで欠かせない「静粛性」は低いです。

特に現行モデルにあたるBT型では静粛性に関わる大幅なアップデートもありましたが、それでもなお音・振動は抑えきれておらずそれほど静かな車とは言えません。赤点だった先代モデルから現行モデルでようやく平均点付近まで頑張ったと言ったところです。

特に静粛性の低い先代モデルではロードノイズが大きいだけでなくルーフや窓ガラスの防音性が非常に低いです。風切り音もうるさいですしトンネルに入ったときの騒音の変化が大きいです。更に顕著なのが雨の時の車内への騒音の入り方です。普通車に乗っている人がたまに軽自動車に乗ると「窓開けっ放しだったかな?」と勘違いして窓が開いていないか確認してしまうと思いますが、アウトバックに乗るとその感覚を体験できます。現行モデルではこれらの騒音問題がある程度解消されていますが、静かな車から乗り換えると物足りなさを感じることに注意が必要です。

現行モデルでは窓ガラスやドアパネル周りからの騒音を対策したことを大々的に公式サイトでもアピールしており、スバルとしても静粛性の低さは認識していたようです。

たとえばプレミアムブランドのなかでは静粛性や質感が低いことで知られるBMWを例にとると、快適性の低い3シリーズであってもここまでうるさくありません。綺麗な路面におけるロードノイズだけでいえば3シリーズも良い勝負ですが、ルーフや窓ガラスから侵入する騒音の大きさや荒れた道でのロードノイズ、振動、エンジンのノイズなどはアウトバックの圧勝です。

2.パワートレインが終わっている

アウトバックは大柄でゆったりとした雰囲気から余裕のある走りを連想させます。しかし、実際に搭載されるエンジンは1.8Lのダウンサイジングターボエンジンです。先代モデルでは2.5Lの自然吸気エンジンが搭載されていました。組み合わされるのはスバル自慢のCVTです。

1.8Lターボエンジンのパワー不足は言うまでもありませんが、先代で搭載されていた2.5Lの自然吸気エンジンも必要最低限のパワーしかなく余裕はまったくありません。のんびりと走るにもトルクの薄さを感じてしまうほどです。このトルク感をCVTが補いスムースな加速を実現できているならまだしも、いずれも実現できておらずパワートレインに関しては低評価をつけざるを得ません。

もちろんアクセルを踏み込んでエンジンの回転数を上げることで十分な加速は得られます。しかし精一杯頑張って必要な加速が得られてもそこには余裕もありません。エンジン音もガサツで車内に伝わるだけでなく、フロアを伝わるエンジン振動も今時の車には珍しいほど多いですから余裕のなさを余計に感じてしまいます。海外市場では3.6Lエンジンが搭載されていたそうなのでスバルもこの点は理解しているのだと思います。日本国内では税制上の不利を鑑みて導入しなかったのかもしれません。

特にダウンサイジングターボエンジンはアクセルペダルをじんわりと踏み込んだ程度のアイドリング+α程度の回転数ではトルクが極めて薄いですから余裕のなさは顕著になります。残念ながらエンジンに定評のあるBMWですらダウンサイジングターボエンジンの極低回転における余裕のなさやギクシャク感は隠しきれていませんから、スバルが実現できていないのも仕方ないのかもしれません。

とはいえ昨今のトルコンATとしては当たり前になった8速ATなどと比べてもスムースさの欠片もないCVTには失望を隠せません。(早くCVTに見切りをつけるか改善してほしい)

3.古のSUVのような安定感の低い乗り味

アウトバックは私の記憶が正しければステーションワゴンであるレガシィの車高をあげたクロスオーバーモデルだったと記憶しています。つまり「SUV寄りのステーションワゴン」です。言い換えれば SUV3 : ステーションワゴン7 くらいのイメージが私のなかにあります。しかし、その車体の動きは完全にSUVです。ステーションワゴンらしさが残るのは外観だけで実際に乗ってみると SUV8 : ステーションワゴン2 くらいの感覚です。

元々のレガシィツーリングワゴンの時点でホイールベースが短いがゆえに伸びやかさに欠ける見た目をしていました。これがアウトバックになって更にずんぐりしました。それでも先代モデルまではなんとかステーションワゴン風の見た目を維持していたと思います。しかし現行モデルになって外観がSUVらしさを強調するものになってしまい、もはややや全長の比率が高い以外にステーションワゴン要素はほとんど残っていません。

乗り心地はグラグラ不安定で直進安定性も低いです。SUVの基準で見ても優秀とは言えず、古の「ヨンク」とか「オフローダー」は言い過ぎですがそれらを想起させるような仕上がりになっています。スバルは大手自動車メーカーに比べれば量産効果も得られず製品のコストパフォーマンスが低いのは明らかですが、こうした形で性能の低さが目についてしまうのは車好きとして残念です。

突き上げなど乗り心地に関する要素も綺麗な路面ではよく抑えられている2のですが、一定以上の荒れや段差など入力が大きくなると途端にガタガタとした突き上げや騒音、振動のオンパレードです。特に静粛性の乏しい先代モデルでは軽自動車に毛が生えた程度の快適性しかありません。

路面に追従しつつも凹凸を滑らかにやり過ごすような一体感ある動きはアウトバックにはありません。ただ、これは今時珍しいセッティングで人によってはこの車との一体感に欠けたマイルドで緩いフィーリングが魅力に映るかもしれません。国内外のSUVを見渡してもこれだけ乗用車感に欠けたフィーリングの車は珍しいので意図して「ゆる~い」セッティングにしているのかもしれません。同様にステアリングフィールも感覚がない割に抵抗が大きく、細いステアリングや出来の悪いシートと合わせて運転を楽しむような車ではないことをひしひしと感じさせます。

先ほどから比較対象に挙げているBMWを例にとると30年ほど前の5シリーズですら乗り心地や静粛性、操作のフィーリングなどの走行性能全般はここまで悪くありませんでした。車好き以外からすれば重要ではない要素とはいえちょっと残念なところです。アウトバックを選ぶ場合にはディーラーが謳い文句に掲げるような快適性や高級感ではなく実用性やコストパフォーマンスで選ぶ必要があります。

4.車内の快適空間を破壊する安全装備

スバル自慢のアイサイトは車線の逸脱や衝突回避のブレーキ、前車を追従するアダプティブクルーズコントロール、ハンズオフなど様々な機能が備わっています。これ自体は素晴らしいことですが安全性を得るために快適性や質感を犠牲にしている点には言及しておきたいと思います。

まず日頃の運転でよく目にするのが車線逸脱警告です。車が車線に近づくとメーター内のランプとピーピーという警告音で知らせてくれます。集中力を欠いた運転や危険な運転に対して警告が出るのであれば良いのですが、街中の走行では車線近くに寄ることもあれば誤検知に近い警告がでることも珍しくありません。この時に毎回ピーピーと安っぽい警告音が鳴るわけですから車内の快適な空間はぶち壊しです。この設定は音量を変えるほかにオフにすることもできてエンジンをかけ直してもオフ状態を維持することができます。しかし、それ以前に快適性と安全性を両立する方法を考えてほしかったものです。先ほどから引き合いに出しているBMWの場合はステアリングのバイブレーションで警告をそれとなく知らせてくれるようになっています。

また条件が合えば車線に合わせてステアリング操作も自動で行われますが、これが滑らかとは言えません。元々グラグラした車体の動きを合わさって乗り物酔いをする人であれば運転席に座っていても酔うレベルです。

これ以外にもクルーズコントロールは設定した速度を一定に保たずに減速しすぎて加速しなおしたりすることがあります。特に長い坂道では顕著でエンジンブレーキによる減速感や減速感がなくなった瞬間の空走感、再加速時の加速感などドライバーに露骨に伝えてしまいます。これが従来のATであれば理解できなくもないのですが、CVTを搭載しているのにここでスムーズな制御ができないとなるとCVTにこだわる理由がわかりません。ただでさえCVTのせいで悪路を走行できなくなっていますから、新しいトランスミッションの登場が待たれるところです。

前を走行する車両に追従するクルーズコントロールも加減速がスムーズではないうえ、車間を最大に設定しても車間距離はそれほど離れず前の車に圧迫感を与えかねない距離です。複数台のカメラを使った自慢のアイサイトのはずですが、10年以上前のBMWの謳い文句にもされていなかったクルーズコントロールと性能はそれほど変わりません。

5.快適装備とは?取ってつけただけのシートヒーター

アウトバックにはシートヒーターが装備されます。このシートヒーターは私がこれまで所有してきた10台以上の車のなかで突出して出来が悪いです。こんな粗悪なシートヒーターがあるんだとビックリするほどで、下手をすると昨今の軽自動車のシートヒーターより出来が悪いです。(特に先代モデルはひどい)先ほどから引き合いに出しているBMWでいうと40年近く前の3シリーズに乗っていたことがありますがそちらの方がまだマシです。

良いシートヒーターとは暖かいシートが体を包み込んでくれるような感覚があります。実際には発熱するのはシートの一部でしかなく、体とシートが接触している面積も限りがあります。それでも座っている人の体感上は「暖かくて包み込んでくれるよう」な感覚を得るものです。これはヒーターの設置位置や深さ、クッション材や表皮材との兼ね合いで絶妙な調整が求められますが、アウトバックのシートヒーターは適当にヒーターを突っ込んだだけのような仕上がりです。

アウトバックのシートはお世辞にも出来が良くありませんから、この組み合わせでとにかく暖かく包み込んでくれるような快適なシートヒーターとは程遠い存在になっています。あわせてレザーシートにも触れておくと、これが大変出来が悪くファブリックシートに何も考えずにレザーを被せただけのような仕上がりです。快適性という意味ではとにかく蒸れやすいです。シートベンチレーションが装備されたのも納得です。

これ以外にもフルオートエアコンは名ばかりで左右の風量や吹き出し口を独立して調整できないのはもちろんのこと、外気と内気循環は温度のみを条件に切り替わります。トンネルなどに入って排ガス臭くなったときに自動で切り替えてくれません。快適な車内を維持するには外気・内気循環の切り替えを頻繁に手動で行う必要がありますが、このスイッチはセンターコンソールにしかありません。足元の吹き出し口も位置が悪く、吹き出し口を足元だけにしても上から僅かに風が漏れるなど見えない部分の作りの安っぽさが目立ちます。オートワイパーのセンサーと制御も悪く、オートライトは対向車がいても一瞬ハイビームになってパッシングのような挙動をするなどとにかく洗練されていないガサツさが目につきます。

とにかく快適装備と呼べるようなものが不足しているのがアウトバックです。

選び方を間違えると後悔するアウトバック

まるで酷評の嵐のようになってしまいましたが、ここまで酷評したポイントはすべて走行性能や質感に関するものです。逆に言えば快適性や走る楽しさなどを除けばよくできた車ということができます。

アウトバックほどのサイズ感の車を購入の候補にしている方は一定ラインの快適性を求めてしまうものです。しかし実際にはとことん実用性に特化している車です。実用性重視の車以外から乗り換えると間違いなく快適性や走行性能に不満を持ってしまうはずです。

SUVとしては長めの全長のお陰で長い荷物の積載が可能で、車高に合わせて上がった荷室高のお陰で荷物の積み下ろしがとても楽ちんです。快適性や走行性能が低いといっても危険なレベルではありませんし、軽自動車に比べれば幾分良いです。車体も大きすぎず見切りが良いため車両感覚が掴みやすく運転がしやすいですし、豊富な安全装備が更にそれをサポートしてくれます。傷や汚れも気にせず使えるタフな印象のお陰で「アクティブな普段使いの足」あるいは「趣味の相棒」としては非常にポイントが高いです。

走行性能や快適性に乏しいですが少し我慢をすれば旅行や日常的な使用に十分耐えますし、その代わりに価格が抑えられています。国産車の例に漏れず故障も少なく維持費も節約できます。

私のケースでいえば、アウトバックを購入する前に軽トラの追加購入を検討していました。趣味でいろいろな荷物を積んで運ぶためだったのですが、最終的に買い足しではなくアウトバックに集約することにしたわけです。乗用車より快適性や走行性能は低いですが軽トラよりはずっと良いです。軽トラほど荷物は乗りませんが3×6規格 (1820mm×910mm) の板材が余裕で積載可能です。

アウトバックが完全なSUVになる前に上質なアウトバックを買いたい

アウトバックは大きすぎず小さすぎないほど良いサイズ感や今となっては貴重なステーションワゴン風のSUVです。とはいえ高い車高のお陰で荷物の積み下ろしが容易な点であったり、低価格・高品質で嫌みのないアンダーステート感が魅力です。普通のSUVに比べれば全長がやや長いため長物の運搬も得意です。緩いマイルドなフィーリングも決して嫌いではありません。

アウトバックは現行モデルへのモデルチェンジを機に見た目がかなりSUVに近くなりました。このままSUV路線を進んでいってしまってはわざわざアウトバックを選ぶ理由がなくなってしまいます。昨今はSUV人気も高まっていますからステーションワゴンはレヴォーグに任せてアウトバック自体はSUV路線を進んでしまうのかもしれません。なんとかその前に質感を高めた上質なアウトバックを味わってみたいです。もしそんな車が登場してくれれば間違いなく余生をのんびり楽しむ終の車として最適なはずです。

私は実用性と見た目・性能の点でステーションワゴンが大好きなのですが、レヴォーグはハッチバックにしか見えないうえ車体もやや小さすぎます。アウトバックがSUV路線を進んでしまうとなると、もうマツダ6しか選択肢がありませんが見た目が好みではありません。そうなると輸入車しか選択肢がないのですが車趣味はやめた身としては高価な輸入車は避けたいです。今まさに程よいサイズ感と十分な車内空間の絶妙なバランスを求めるステーションワゴン難民が私以外にも溢れかえっていそうなものです。

ただ、こうしたアウトバックの質感や快適性の低さは歴代モデルで一貫しています。ディーラーとしては「上質で快適な車」として販売しているものの、スバルのデザイナーたちはもっと武骨で汗臭い旅する相棒のような存在にしたいのかもしれません3

  1. 自動車インテリア史上最悪の素材と言っても過言ではない金属風に塗装されたプラスチックパネル ↩︎
  2. 実際には反応が鈍いがゆえにドライバーに微細な動きが伝わっていないだけ ↩︎
  3. そうだと仮定すると空転するとすぐ過熱するCVTに疑問が残ります。やっぱり日本におけるコンパクトミニバンのようにちょうどいいパッケージングの実用車として海外向けに作っている説が濃厚です ↩︎
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