【MSI RTX2060 AERO】故障したファンを分解・修理 – ファンが回らなかった理由とは?

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MSI RTX2060 AERO(正確には、MSI GeForce RTX2060 AERO ITX 6GB OC)が故障しました。

2019年11月にAmazonで新品購入し、約1年半ほど使用してきました。故障時の記録は以下の記事にまとめてあります。

【MSI RTX2060 AERO】2年弱の使用でまさかの故障!不運?不具合?どうしよこれ。 – ドリリウム

故障の症状

ファンが故障したと判断した理由はその動きです。

電源投入時やGPUの温度が上がり、ファンが回ろうとしたときに「ピクピク」「カクカク」と小さく動くのです。動き出そうとして、回転できず止まってしまう感じ。この手の故障では、指で回転させて勢いをつけてやることで回転し始めるケースもありますが、今回は指で勢いをつけても回転しません。

ピクピクと動くことから、電気は流れてきているようです。ファンは構造が遥か昔から変わっていない非常にアナログな機械です。安物だろうとノーブランド品だろうとそう簡単に壊れるものではありません。

しかも、MSI社製のGPUに搭載されるファンです。高価なファンが付いているとは思いませんが、ある程度品質管理が出来ていて耐久性もあるファンが搭載されているだろうと推察できます。

ちなみに実際に搭載されているファンは希铂利亚科技有限公司(XBLY)というメーカーのXY-D10015CHです。DC12V、0.55A、5000rpm、4ピンというスペック。

ファンの分解・修理

GPUに搭載されたファンは、コネクタさえ抜ければGPU本体を分解せずとも取り外すことができます。

しかし、部品が所狭しと搭載されたGPUではなかなか都合良くはいきません。MSI RTX2060 AEROも、分解せずにファンを取り外すことはできませんでした。分解のためには、このシールを突き破ってネジを緩める必要があります。

warranty void if removedと記載されており、このシールを破ったり剥がしたら保証は無効だよという意味です。修理に1カ月+有償な時点で保証の価値はないと判断して気にせず作業を進めます。

本体裏面にあるビスをすべて外していきます。

プラスの精密ドライバーが必要です。

裏面のビスを外すと、本体とファン及びヒートシンク部分を分離できます。

グリスがへばりついているためちょっと力を入れて剥がすイメージです。グリスの塗り方は人によってこだわりがあるそうですがこの製品の場合にはべっちょり塗布して押し付ける系みたいです。

冷却ファンの4ピンコネクタを外します。破損しないように注意。

特に異常は見当たらないのでファンを開けてみましょう。

台座とファンを引っ張ると分離できます。

???????????

いやいや、シャフトがスナップリングで固定されているんだから、抜けるわけないじゃん。抜けたとしてもスナップリングを壊す勢いで抜かないと抜けないはずじゃん。なんだか原因がわかってしまった気がしますが、とりあえず先に進めます。

よーく見ると、なんか汚くない??

なんか黒いカスがいっぱいある。何か黒い樹脂が削れたようなものに見えます。内部も茶色く一面に錆びたように見えますが、これはそういう色のグリスと思われます。

中には密閉式のベアリングが2つ。新品交換しても良いですが品番の記載がありません。固着も引っかかりもないので問題なさそう。パーツクリーナーで念入りに掃除しました。

エアダスターでよく乾燥させて、グリスアップします。使用するのは車の整備用に持っていたシリコングリス。あらゆる性能がバランス良く高く、樹脂も侵さないグリスです。

グリスを気持ち多めに塗布したところ。

ちなみにベアリングはコイルがある側と、羽がある側に一つずつあります。

コイルがある側のベアリングは裏側からシールを剝がさないと取り外すことができません。

故障原因:ベアリングを保持するスナップリング脱落

さて、原因とご対面です。

コイル側のベアリングも取り外して綺麗にしようとファン裏面のシールを剥がしたところ・・・・

んんん??????

そうそう、スナップリング。これでシャフトが抜けずベアリングが保持されているんです。

スナップリングはC型の軸用です。一般的なスナップリングプライヤーの先っぽが入る穴が2つあるスナップリングと形状が異なりますが、径が小さくなるとスナップリング自体も小さくなるため穴を2つ取ることができずにこういう形状になるみたいです。

はい、これが今回の故障の犯人です。ファンが故障した際に発生した異音は、これが脱落して軸受けが機能しなくなって発生した音だったんでしょう。今回ファンを取り外した際に、羽側を持っただけでスポンとファンが分離できてしまいました。

余分なグリスは拭き取って、スナップリングをシャフトに嵌め込みます。

このままではガバガバですぐに抜けてしまうので、ペンチで締めこみました。これでダメなら市販のC型スナップリング(軸径3mm)を買って交換したいと思います。

これで、ファンの羽を持っても台座側と分離することはなくなってしっかり固定されています。シールは接着剤で貼りなおして、マザーボードに取り付けて電源を入れるとあっさり起動。

ファンも問題なく動作しています。

たぶん、滅多にない故障というか初期不良

今回の故障は、明らかな初期不良です。

おそらくメーカーに送ったところで初期不良という扱いにはならず、ファンの故障として普通に有償修理になっていたと思います。だって、メーカー(MSI)的にもファンのスナップリングが脱落するなんて絶対に思わないし、ここまで見ないと思う。ファンの供給元である希铂利亚科技有限公司(XBLY)だって想定していないでしょう。

これだけシンプルな構成で枯れに枯れ切った技術の集大成であるファンのスナップリングが脱落するなんて、品質管理を潜り抜けてきた貴重な一品に違いありません。スナップリングが脱落した原因が、元々取り付けに問題があったのか、スナップリングの精度が悪かったのか、シャフトの傾きや偏摩耗によるものかはわかりません。

スナップリングが緩んで伸びているようなこともないため、スナップリング自体の精度が低く緩かったか、取り付けに問題があり摩耗して緩くなったかのいずれかでしょう。

いずれにせよ、このファンは信頼性が低いため近い将来交換したいと思います。

残念ながらMSI RTX2060 AERO用のリペア用ファンは流通しておらず、純正品であるXBLYも見つかりません。

そこで、ファンとファンシュラウド(なんていうの?)を外して、こちらの汎用のグラフィックカードファンを取り付けてみようと思います。

追記

2連ファンを追加してみました。

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