レモンやみかんなどのおいしい柑橘類を収穫するために、冬(12月~2月)にやらなければいけない作業を紹介します。
▼他の季節の作業内容のまとめはこちらのリンクからご覧ください。
冬は柑橘類の休眠期間
冬場になると寒さに弱い柑橘類は枝葉の成長を止めます。
それに伴い水分や栄養の吸収も少なくなり動物で言うところの冬眠のような状態に入ります。こうした植物が冬のあいだ成長を止め寒さに耐える状態を休眠と呼びます。
基本的に成長しないため肥料も水も必要とせず手間がかからない期間ですが、寒さに負けて木を枯らしたり弱って葉が落ちてしまう可能性があります。柑橘類は冬の間に葉が減ると翌年の収量がガクンと落ち込みます。どれだけ葉を残して冬を超えさせるかが重要です。
この冬眠期間は植え替えや剪定の適期です。植え替えや剪定をする場合には冬の間、特に寒さの厳しい1月~2月ころに行うと良いとされています。
また、冬の終わりには春からの成長のための肥料を施さなくてはなりません。この肥料は柑橘類を育てる過程で最も重要な施肥です。分量にして年間に与える肥料のうちの50%程度をまとめて与えます。
収穫と摘果
柑橘類の収穫は地域や品種にもよりますが秋の終わりから冬の始めにピークを迎えます。
大半の柑橘類は春から秋にかけて断続的に花が咲き果実が実るため、12月以降も実が残ることは珍しくありません。あえて実を残したまま越冬させ春に実を収穫することもあります。
冬のあいだは木の活動が停止しているように見えますが、実は春に芽吹く新芽の準備がゆっくりと進行しています。果実を残したままにすると新芽を成長させる養分が不足することがあるため、特段の理由がなければ12月ころを目途に収穫を終わらせると良いでしょう。
収穫後の肥料やり
柑橘類はたくさんの肥料を必要とする果樹です。
春から秋にかけて常に肥料の効果が持続するように肥料を与え続ける必要があります。柑橘類に与える肥料は基本的に「緩効性」の肥料を与えます。緩効性とは効果が緩やかに発揮され続ける肥料です。
収穫を終えたレモンはこれから冬眠に入りますが、多くの実をつけて栄養が不足しています。そのため瞬間的に不足している栄養を補うために収穫後に以下のような「即効性」の肥料を与えます。
この収穫後の施肥(お礼肥などと呼ばれます)は必ず即効性の肥料を使い、肥料の効果が冬に残らないようにする必要があります。液体肥料を使う方法が最も確実ですが、面倒くさければ省略しても問題ありません。
詳しくは以下の記事で解説しています。(冬前の肥料の項目です)
越冬のための防寒対策と落葉対策
柑橘類は寒さに弱い果樹です。
レモンを例にとるとリスボンやマイヤーレモンといった寒さに強い品種は存在するものの、柑橘類のなかでは強いというだけでやはり厳しい寒さでは弱り、枯れてしまうこともあります。
一般的に -3度 を下回る時間が続くと枯れてしまう可能性があります。また気温が暖かくても強い風に晒され続けると弱ってしまう場合があります。「関東以南であれば大丈夫」などと言われますが、関東でも冷え込みやすい地域では枯れたり弱ってしまうことがあるため注意が必要です。霜が降りることがある地域ではとりあえず防寒対策を施しておくと安心です。特に苗を植えて2~3年程度の若い気では寒さにあっさりとやられてしまうことがあります。逆に立派に育った成木では特に寒い地域を除けば防寒対策をせずとも問題ないことが多いです。
天気予報を確認して最低気温が3度を下回る日が続く地域では防寒対策を施すと良いでしょう。気温は同じ都道府県内でも地理的条件によって差があります。心配な場合や判断に悩む場合にはインターネット上の天気予報サイトなどで、市町村レベルの予報を確認すると良いでしょう。
基本的な防寒対策は非常に簡単で「寒冷紗」を使用します。光や風を通す不織布でホームセンターの園芸コーナーにもたくさん並んでいます。非常に薄い布のようなもので、これを木全体にぐるぐる巻きつけるだけです。
詳しくは以下の記事で解説しています。
水やりと肥料を控える
冬場の柑橘類は水と栄養の吸収が緩やかになります。
肥料は冬前の肥料(即効性)を与える以外に与えず、冬眠中は肥料が効いていない状態を維持します。そのため、春~秋に与えた肥料が残っている場合は寒さが厳しくなる前に除去してください。
また、水も多くは必要としなくなります。庭植えの場合には水やりは不要です。鉢植えの場合でも1週間に1回程度の水やりで十分です。もし1週間経過しても土の表面に湿り気がある場合には更に先延ばしにします。
詳しくは以下の記事で解説しています。
春前の肥料やり
柑橘類は冬の間は活動をほぼ停止し、春になると活動を再開します。
春以降の柑橘類は新たな芽を出し枝葉を成長させ花を咲かせるためにたくさんの栄養を必要とします。そこで、柑橘類が活動を再開する前にまとまった量の肥料を与えることで、活動再開後の成長を促します。
この春前の肥料やりは、柑橘類栽培において最も重要な施肥のひとつです。一般的な化成肥料で十分ですが、柑橘類は果樹としてポピュラーなため専用の肥料も安価に販売されています。置くだけの便利な商品もあるため検討してみても良いでしょう。
詳しくは以下の記事で解説しています。(春先の肥料の項目です)