柑橘類の育て方 花・果実が落ちる!落花や落果の原因と対策

ガーデニング

レモンを始めとした柑橘類には「落花」や「落果」がよく起こります。この原因と対策を解説します。落花や落果は、花や果実が 自然と あるいは 軽く触れただけで 落ちてしまうことを指します。正常な花や果実は少し引っ張ったり、力を入れたりしたくらいでは取れてしまうことはありません。

落花・落果の原因

柑橘類は栄養や管理状態が悪いと花や果実が落ちやすくなります。原因は管理不足や栄養不足であることが多いのですが、柑橘類は多花性(花を多くつける性質)こともあって管理を徹底したところですべての花を生かすことはできないのです。特に受粉が終わって花びらが落ち、これから果実が大きくなり始めようとする6月ころになると顕著になります。6月(June)に花が落ちることからジューンドロップとも呼ばれます。

はじめに:木が若く小さい場合

落花の原因は多岐に渡りますが、特に木が若く小さい場合や植え付けから1~2年ほどはこうした要因の影響を強く受けやすく落花が起きやすいです。

目安としては根元に近い幹が指3本分ほどに太くなるまでは適切に管理していても些細なことで落花が起こりやすいものです。花が落ち果実をつけないことで木自体の成長は促されますから木が若いうちはあまり心配し過ぎず木の成長を見守ることも大切です。

原因1:日照不足

柑橘類はたっぷりと日を浴びて育つ果樹です。

多くの柑橘類の果樹は日照が少ない環境にも耐えるだけの耐性はありますが、やはり日の光が不十分だと生育に悪影響を及ぼし花や実が落ちる原因にもなります。可能であればしっかりと日が当たる場所に置くか、昼間はよく日の当たる場所に置くと良いでしょう。とはいえ、日照不足による落花は自然なものです。その木が植えられている環境にあわせて花(果実)の数を調整していると考えて心配し過ぎないことも大切です。

庭植えの場合には周辺に高い木や建物があって日照不足になっていないことを確認してください。鉢植えの場合には置き場を確認し問題があれば移動させます。プランターの移動が困難な場合にはキャスター付きのスタンドを検討すると良いでしょう。

プランタースタンドを使うことでプランターの下の隙間に住み着く不快害虫などの対策にもなります。移動する必要がないプランターでもスタンドを使用することをおすすめします。

原因2:水やり

柑橘類は比較的乾燥に強いものの適切な水やりが出来ていなければ木が弱ります。花や実をつける時期は木自体の成長期でもありますから、不適切な水やりのせいで成長が阻害されて落花や落果の原因になることもあります。とはいえ柑橘類の果樹の水の管理は難しくありません。特に地植えの場合はこの時期ほとんど水やりを必要としませんから水やりが原因である可能性はやや低いです。

詳しくは以下の記事で柑橘類の水やりについて詳しく解説しているので参考にしてみてください。

原因3:栄養不足

柑橘類の果樹が花をつける春から秋のあいだは非常に多くの肥料を必要とします。木がぐんぐんと成長し枝葉を増やすだけでなく、花をつけ実も太らせるためです。肥料は与えすぎもいけませんが不足すれば成長が阻害されて落果や落花の原因になります。

ただし、柑橘類は非常に多くの花をつける性質があるためすべてが立派な実にはなりません。肥料をたっぷりと与えたとしてもすべての花に十分な栄養を行き渡らせることはできません。それどころか肥料過多は「肥料やけ」という深刻な症状の原因にもなりますから注意してください。

「葉果比」をご存じでしょうか?
その名の通り1本の果樹になる「葉」と「果実」の比率を指し、多くの柑橘類は葉20枚~30枚に対して1個の果実が適切とされています。この葉果比を守ることで甘くてジューシーな果実を収穫できます。しかし、柑橘類の果樹は多いと葉の数を超えるような花をつけることがあります。つまり葉果比が1:1以下です。美味しい果実の基準に比べて果実が20倍~30倍も多いのです。当然果実は美味しく育たないどころか、生育不良に陥ります。
柑橘類の果樹の落花や落果は果樹自身の健全な生育のための自然な流れというわけです。心配のしすぎにも注意が必要です。

詳しくはこちらの記事で解説していますが、肥料の管理が難しい場合には柑橘類の専用肥料がおすすめです。肥料の与え方や時期もパッケージの説明に従うだけなのでこだわりがなければ専用肥料がおすすめです。

原因4:剪定のしすぎ

剪定の際に枝を切り過ぎると木は新しい枝葉を出すことに集中して蕾や花へ十分な栄養を供給できずに花をつけづらくなるうえ、花に十分な栄養が行き届かずに落花や落果につながることがあります。柑橘類の果樹の剪定は冬の終わりころに行い、それ以外の時期は不要な芽を摘み取る程度にするべきです。

詳しくはこちらの記事で解説していますが実際に自宅にある果樹で実践してもなかなか要領が得られないものです。あまり難しく考えずに大きな剪定は冬の終わりに行い、それ以外の時期は剪定しないようにするのもひとつの手です。また木が若く小さいうちは一切剪定をしなくても構いません。

落花・落果の対策

落花や落果が極端に多い場合にはその年の収穫は厳しくなります。一度弱った花や実が持ち直すことはほぼありませんから、先ほど紹介した原因を特定して対策することで翌年の収穫に期待しましょう。

日照不足による落花・落果の対策

日照不足により落花・落果している場合には、すぐに十分に日の当たる場所に移動することで対策ができます。残念ながら落花・落果が気になり始めてから日当たりの良い場所に移動してもその年の収穫は厳しくなります。

既存の花・果実を指先で軽く触れてみると、弱った花や果実はあっさりと落ちてしまいます。こうした花や果実は放っておいてもいずれ落ちてしまうため早めに見切りをつけます。残った花を大切にして、運良く育った果実には果実袋をかけて風の当たりにくい対策を施して育てましょう。

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周りの建物やフェンスなどの影響で日当たりが悪い場合には植え替えを検討するのもひとつの手です。しかし、もし木自体がもう少し成長して背が高くなれば日当たりを確保できそうな場合には自然と成長を待つのもひとつの手です。

水やりによる落花・落果の対策

水やりによる落花・落果の原因は水の与えすぎによる根腐れと水の与えなさすぎによる乾燥の2パターンがあります。

柑橘類は比較的乾燥に強いため乾燥によって落花・落果が起こることは多くありません。特に地植えしている場合には真夏に晴天が連日続くような場合を除いて水やりをほとんど意識する必要はありません。適度な水やりはあった方が良いですが、むしろ水のやりすぎによる悪影響が大きいため乾き気味に管理すると良いでしょう。鉢植えの場合には土の表面が乾いたころにたっぷりと水をやります。土の表面を軽く手で掘ってみてパサパサに乾燥していない限りは水やり不足の可能性は低いです。

一方で水の与えすぎにより根腐れを起こした場合は絶望的です。基本的にその年の収穫は諦め木が枯れないように速やかな対策が必要です。地植えの場合には真夏に連日の晴天が続くような極端な時期を除いて水やりを止め、鉢植えの場合には土の表面が乾いてから水やりをするようにします。鉢植えの場合には根詰まりや土の水はけの悪さが原因で根腐れすることもあるので、土の表面にコケがないか?土がカチカチになっていないか?水やりをしたとき水が溜まらないか?など確認して水はけが悪くなっている場合には新しい土を用意して植え替えをします。

ただし、いずれの場合でも木自体が目に見えて弱っていなければ軽症の可能性が高いです。過不足なく管理することで持ち直す可能性が高いです。

詳しくはこちらの記事で解説しているので参考にしてみてください。

栄養不足による落花・落果の対策

栄養不足により落花・落果が発生している場合には、緩効性肥料を追加しつつ速効性肥料を与えることで栄養を補い対策することが可能です。しかし、弱っている状態で咲いた花や果実が強くなることはなく、その年の収穫は厳しくなります。

日照不足の対策と同様に、既存の花・果実を大切にし、運良く育った果実には果実袋をかけて風の当たりにくい対策を施し厳重に育てましょう。

詳しくは以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。

剪定のしすぎによる落花・落果の対策

剪定のしすぎにより栄養が行きわたらずに落花・落果が発生している場合にはすぐに施せる対策がありません。しかし、この場合には水やりや栄養不足による落花・落果とは違い落ちずに残る花や果実もそれなりにあるはずです。

日照不足の対策と同様に、既存の花・果実を大切にし、運良く育った果実には果実袋をかけて風の当たりにくい対策を施し厳重に育てましょう。

さいごに

柑橘類の落花・落果の原因と対策を解説しました。

基本的に木が付いたときには時すでに遅しです。

日当たり・水やり・肥料・剪定といった基本的な管理が重要です。

リンク先の解説記事も参考にしていただき、管理を改善していってみてください。

▼レモンの育て方全般について、季節ごとに作業項目をまとめた記事はこちら。

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